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−J-REITを考える(その2)− | |
■J-REITの外部成長 外部成長と内部成長を比べると、当然ながら、コスト削減による「内部成長」よりも新規物件取得による「外部成長」に期待が高まります。 最近では、株式アナリストの方もファンドの不動産購入姿勢にも注目するようになり、様々な見方があるようです。 私自身、個々のファンドの不動産取得を見ていると、資産運用会社の苦労が分かりますが、不動産売買市場の実態の中ではファンドのニーズが理解されていないこともあって、物件の吟味に時間が掛かっていると思います。 実は、不動産を購入するということは一般の方が考えている程簡単ではありません。 目的に100%合致した不動産は存在しないというのが現実であり、数多い候補の中から長所・短所を比較して吟味する必要がありますし、無理をしないため、集まった候補物件全てを没にするという判断も必要となります。 JREITの場合には、長期保有を前提として、不動産から生じる期間収益を投資家に分配する運用を行いますので、物件取得の失敗は、即座に配当金や資産価値に影響を与えてしまいますからその責任を考えると、どうしても資産運用会社は取得に慎重になります。仮に、やや問題のある物件を取得してしまった場合、不動産価格の上昇や過剰流動性がなくては入れ替えも難しいのです。 実際に、JREITファンドの既保有物件の中にも、やや不適切と思われる物件も散見されますが、今日の不動産情勢では処分が難しく、苦慮している面もあります。 従来の不動産取得は、不動産価値の上昇期待の中での取得判断が大半でしたので、取得基準も緩やかで、かつ、曖昧な判断でも通用しましたが、これからの不動産価値の推移を考えると、安易には取り組めません。 従来の不動産屋的感覚は、キャピタルゲインが得られる時代の見方なのだという認識が必要です。また、JREITを従来の転売型の不動産感覚で評価すると、インカムゲイン型の投資商品だという本質を見落としがちになります。 従って、私は外野から見て、JREITファンドの外部成長を安易に求めるのは投資家のためにはならないだろうと考えており、資産運用会社には専門家としての自制心と、より深く吟味するという姿勢を堅持して欲しいと願っています。 |
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