トップ
2004. 6.24.Up Dated.
REITと金利上昇
  
4月15日のコラムにも金利上昇について触れましたが、直近の10年物国債の利回りが1.85%をつけたことで、REITも微妙な判断を必要とされるようになりました。
長期金利の上昇によって短期金利も上昇を始めていますが、日銀の量的緩和が解除されない限り、短期金利への影響は小さいと考えられます。
こうなると、REITでは、短期借入金の比率を上げるか、なるべく長い期間での固定金利の借入金を増やすかという手法を検討することになります。
元々、ビル賃貸業等では短期借入金の依存率が高くなると危険信号という見方がありますが、REITの経営・財務の透明性は一般企業に比べると高いので、必ずしも悪い訳ではありません。
それでも、保守的な財務戦略では短期借入金の比率を上昇させるという手法に逡巡があると思いますし、問題の先送りになるということにもなります。
一方、投資家側からは金利上昇によるREITへの影響を心配する声もありますので、資産運用会社からも何らかのアナウンスの必要があります。
金利上昇→インフレ→賃料引き上げという図式を考えている方も居るとは思いますが、金利が多少上がったことを理由にして賃料引き上げ交渉を開始するというのは、賃貸市場では考えられませんので、このような楽観的な見方は避けるべきです。
但し、私の試算では、急激な金利上昇がない限り、当面の配当金への影響は軽微だと考えていますので、配当金に対する問題よりも、国債利回りの上昇によるリスク・スプレッドの縮小が、REIT銘柄の再評価に繋がることを期待しています。
次へ >>