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不動産取引価格公開制度と地価公示制度について  
  
つい最近発表された全国公示地価も、一般消費者の利益よりも、単にマスコミ関係にネタを提供している程度の効果しかないのではと思います。
公示地価が下がっているという情報によって、個々の消費者が安く住宅が買える訳でもありませんし、公示地価によって保有している不動産の価値が算定できることもありません。
一方、不動産業に従事している者は、公示地価は流し読みする程度ですし、不動産投資という視点では収益性の検討の根拠にもなりません。
公示地価が扱う土地は、自然によって形成された物で、人間が財と労力を投入して作ったものは建築物ですから、国富とは建築物や構造物です。
従って、土地と一体となった建築物等の価値を算定することは意味があると思いますし、不動産投資でも、まさに建物から生じる収益性を前提にして判断します。
現在、不動産投資という視点で、最も有用な情報は、REITが公表する取得価格と保有物件の半年毎の賃貸収支です。 こちらは、行政は全く関与せず、REITの投資法人が自主的に発表していますし、これらを一覧表にしたデータもREIT DATAサイトで公表されています。
国土審議会のメンバーも、答申案を出している暇があるなら、自らデータを収集し分かり易いように加工し、公表する方が社会のためになると思います。
今回の、不動産取引価格公開制度は国民全体から見ればコップの中の嵐ですし、仮に、個々の取引価格が公表されたとしても、そのデータを消費者が有効に使える可能性は少ないのです。
公示地価も同じですが、これらの情報は、行政が収集したとしたら、民間に売って費用を回収すべきなのです。費用が回収できなければ、それだけの価値がない訳ですから、予算を縮小したり、中止すれば良いのです。 民間のビジネスではこれらは日常茶飯事なのですから、まずは、社会の常識に従って行政に携わるべきです。 それでもなお、社会のため、国民の利益に叶うと行政が思うなら、堂々と論戦を張って自らの主張を繰り返し表明し、粘り強く説得するという志を見せて欲しいと思います。
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