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REITの公募に関する問題点
(東急リアル・エステート投資法人上場後の推移を見て)   
  
公募価格決定の合理性
公募価格の決定に際しては、機関投資家等の大口投資家の意見を参考にして決めるということになっていますが、公募価格の仮条件決定から公募価格決定まで10日間ぐらいしかありません。
TRIの場合、保有予定は11物件でしたが、機関投資家等は、これらの物件を全て調査した上で意見を言ったのでしょうか。また、既存銘柄の保有物件との比較検討で優劣が分かりますが、果たして全銘柄の保有物件(164物件)を調査しているのでしょうか。
仮に、REIT保有物件の調査もなく、個々の不動産の分析もない状態だとすれば、何を根拠に公募価格の妥当性を判断するのか分かりません。また、REIT側が発表する純資産価値そのものにも公信性がありませんから、投資口の価格は一体何によって決められるのかという問題があります。

募集プロセスの問題
有価証券届出によって、公募までのプロセスが定められていますが、このプロセスは何を目的としているのでしょうか。
公募価格の適正化と決定プロセスの透明化だとすれば、いかにも形式主義で、実態には即していないのではと言えます。もちろん、適正株価というのは人によって見方も違いますし、いくら論じても結論は出ないとも思いますが、少なくとも、REITのような不動産集合体への投資であれば、不動産分析の視点なくして価格の妥当性は論じられません。
REITの発表するNAVの算出には、不動産鑑定評価が使われていますが、鑑定価格が資産価値を表すとは言っていません。鑑定評価自体、特定ないし複数の鑑定士の意見に過ぎませんし、その内容を全て公開している訳ではありません。鑑定評価書によって、NAVを算出し、わずかな期間で誰が意見を言ったか分からない状態で公募価格を決める。 果たしてこのプロセスで投資家保護になっているのかという疑念があります。

REITの投資分類
REITは有価証券を通じての投資ですので、形式上は有価証券投資になりますが、投資行為としては、明らかに不動産投資の範疇に入ります。しかも、従来の不動産投資とは異なった収益重視の投資ですので、土地の相場観だけでは判断できません。
対象となる不動産の現在及び将来の収益性を総合的に見ながら、資産価値の相対的優劣を検討する不動産投資です。
募集証券会社はこの事を理解して勧誘しているのでしょうか。
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