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2003. 9.18. Up Dated.
REITの公募に関する問題点
(東急リアル・エステート投資法人上場後の推移を見て)   
  
7番目のREIT銘柄として東急リアル・エステート投資法人(以下、TRI)(8957)が9月10日に上場され、最初の週の3日間で約1万口の取引があり、週末の株価は公募価格(530千円)に対して、27千円安の513千円まで下がりました。
TRIの総発行口数は97,600口ですから、3日間で10%以上の売買が行われたとも言えます。
TRIは公募に際して個人への割当を多くしましたので、この取引には個人の損切り売りもあるとは思いますが、常識的に考えると、個人が損切りするのは早すぎると思います。
取引の実態は分かりませんので、あくまでも推測の域を出ませんが、TRIの公募価格が高過ぎたと見る向きが多く、市場株価が下がったところで拾おうとする投資家が多いのではないかとも考えられます。
TRIのNAV(純資産価値)は、497,875円(平成15年6月30日現在)ですので、 場合によっては、NAVとの近似価格が希望価格かもしれませんので、誰かが買い支えなくては、未だ下がる可能性も秘めていますので、保有している投資家には不安があるとも思います。
但し、これらの一連の動きは、上場有価証券にはつきものの取引で、必ずしも投資価値の判断ではないとも言えます。
純粋にTRIの投資価値を見た場合、保有資産内容から見ても、いずれは530千円前後の株価で取引されるであろうと思いますので、保有を前提としたインカム(配当)ゲイン目的の投資であれば、現在の株価で売り焦る必要はありません。
本来、REITは投資家側から見れば、不動産投資の一形態ですが、有価証券を通じての投資となるため、株式のような値動きは避けられないという面があります。
今回のTRIの株価推移を見ると、大口投資家の思惑とTRI側の公募戦略のズレがあったのだとも言えますし、続けて上場してくるグローバル・ワン不動産投資法人の公募の影響もあるのだと考えられます。
わずか3日間だけの取引で、TRIの株価を論ずるのは早計ですが、今回の公募から上場の動きを見ていると、REITの抱えている以下の問題点が浮かび上がってきます。
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