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−REITの最新事情−    
  
東急リアル・エステート投資法人
TRIは最初に上場を発表しましたが、当初の狙いはREITの第2グループ(JRF、JPR)に入ることだと見ています。 東急不動産という大手不動産企業をバックにしていることもあって、OJR、PICより上位に位置したいという意識が強いと感じます。 また、公募の告知方法に東急線車両の中吊り広告や額縁広告等の不動産販売媒体を利用していることも目新しい点です。 これは、公募に際して個人投資家を強く意識していて、投資家のシェアに個人を多くしたいという意向も働いていると思います。
主幹事証券会社は、メリルリンチと野村證券で、個人向けの販売では野村證券に負荷が掛かりますが、今回は久々に野村證券に力が入っていると言われていて、野村の販売力に期待が寄せられています。
公募価格については、内部で色々な思惑が錯綜しそうですが、証券会社サイドはやや抑え気味、投資法人は強気という感じかもしれません。 元々、野村證券グループでは上場時の公募価格はノン・プレミアムないしディスカウントと言っていた時期もありますので、TRIがいきなり5%超のプレミアムで公募するとなると、理屈よりは販売力といったところなのかもしれません。

グローバル・ワン不動産投資法人
GORは、従来からTRIを意識して上場を進めていましたので、今回は、まさにライバル意識のぶつかり合いになりそうです。 上場時の資産規模はTRIの半分(約400億円)で、3物件のみですが、何れも吟味した上での資産に限定していて、REITとして相応しい物件のみで組成したと説明しています。 公募価格はノン・プレミアムの500千円/口になりそうですが、上場後の市場価格の推移を見ての価格なのかもしれません。
主幹事証券会社は明確ではありませんが、同じ系列の三菱証券が筆頭になっています。 GORのオリジネーターは明治生命、東京三菱銀行、三菱信託銀行、近鉄不動産、GMACとなっていますが、体制的には、三菱の金融グループが主体とも見れます。 三菱系では、既に、JRE(三菱地所、東京海上等)、JRF(三菱商事)が上場していますので、GORで3社目となり、三菱グループのREITへの積極性を感じます。 GORは、オリジネーターの顔触れから考えても、当然REITのトップを目指していると思えますが、当初は、TRIと同じくREITの第2グループに位置し、しかも、TRIより上を狙っているのだと思います。

オリックス不動産投資法人
OJRは混戦の中に割って入ったという感じですが、こちらは既に2回の配当実績を持っていますので、新興の2銘柄には負けられないという意識だと思います。 元々、オリジネーターのオリックスは金融と不動産の2つの分野にまたがっている企業ですので、REITでの優位性を確保したいという考え方があったと思いますが、上場後の株価推移は不本意続きということで、今回の増資で巻き返しを図り、まずは第2グループへ進出し、新興2銘柄も上回りたいと考えていると思います。 確かに、予想配当率を見れば、TRI、GORよりOJRが有利ですし、しかも実績付きということですから、投資家に対する説明もしやすいだろうと思います。 それに、今回のTRIとGORの上場に際して、仮にOJRが後塵を拝することになれば、OJRはREITの第3グループが定位置になってしまうという危機感もあると思います。 その意味でも、今回の増資はOJRにとって大事ですし、勝負という感じですが、未だ勝敗の行方は見えません。
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