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2005. 6. 2.Up Dated.
有価証券投資の誤解(福岡リート投資法人の公募手法について)
  
前回のコラムで取り上げた「福岡リート投資法人」のIPOについて、今回は、投資家から見た問題点について取り上げます。
IPOの際に、投資法人が上場以前に私募投資家に割り当てた投資口を売り出す手法は複数のJREITが実施していますが、割当価格と売出価格の差額を大きくして有価証券譲渡益をオリジネーターに供与する例は少数派です。
この手法を駆使して問題となったのは、「森トラスト総合リート投資法人」ですが、JREITの黎明期では「オリックス不動産投資法人」が1口52万円(割当価格50万円/口)で売り出しただけでも投資家から嫌がられました。
一方、「森トラスト総合リート投資法人」と「福岡リート投資法人」では、割当価格500千円/口に対して前者が730千円/口、後者が875千円/口(予定)の売出価格となっています。
この両者に共通している点は、JREIT上場に際してオリジネーターへ多額の有価証券譲渡益を もたらすという事です。
そして、売出価格の理由として、配当率を先発銘柄の水準で設定し、その配当率で割って売出価格を算出するという考え方です。
売出時点の市場の配当率水準は、先発銘柄が実績を重ねて投資家から獲得した成果ですが、「森トラスト」も「福岡地所(福岡リート投資法人の主オリジネーター)」も、その時点ではJREITに対して何の貢献もせずに、IPOで先発銘柄が積み上げてきた成果を得るという手法に対する反発が生じています。
JREIT黎明期での「オリックス不動産投資法人」のオリジネーターである「オリックス」には殆ど有価証券譲渡益が生じなかったにも拘わらず投資家からの反発を受けましたが、これには相当の理由がありますので、次ページの図で説明致します。
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