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−不動産投資とは何か(その3)−

不良債権ビジネスによる不動産投資

ワンルームマンションに比べると、不良債権化した不動産を対象にした投資ビジネスはしくみも複雑ですので、こちらは投資プロ向けになります。

不良債権化した不動産に最初に投資を行ったのは外資系で、バブル崩壊により不動産価格が大幅に下がったときに、バルク(纏め)買いによって、時価の半値程度で買い取って転売利益を得ました。
このバルクセールビジネスは、金融機関の不良債権処理の進展によって、好物件が少なくなったことと、参入業者が増えて買取価格が上昇したことで下火になりました。



今日の不良債権化した不動産は、業者が買い取ってすぐに転売できるような物件が少なくなり、何らかの整理や加工を行わないと不動産価値が戻らない物件が多くなっています。従って、今日の不良債権ビジネスは、整理ノウハウや最有効利用と言った不動産の専門知識を持った集団が、投資家から資金を集めて、不良債権化した不動産を取得し整理等を行い、本来の価値に戻した上で、売却して転売利益を出し投資家に配当するしくみを持っています。
このようなビジネスを展開しているのは、私募形式(少人数の投資家を対象にした法的規制の緩い募集方法)で投資家から資金を集めるファンドで、ファンドビジネスとも言われています。


不動産業界では、1960年代後半に、このような不動産再生を行う事業に取り組むプロ集団が存在していて、造成途中で放置されていた住宅地や虫食い状態の開発予定地を纏め上げてデペロッパーに納めていました。
今日の不良債権を対象にしたファンドビジネスは、表面的な形こそ違いますが、内容は不動産の整理屋とも言える事業であり、かつては不動産業界の中でもアンダーグランドに近い業種が、不動産証券のしくみを使って表面に出てきたとも言えますし、金融機関の抱える膨大な不良債権により、再び不動産の整理屋を必要としているという背景もあります。



このような不動産ファンド投資は、投資家自体は不動産の専門知識を有しない場合が多く、投資家に代わって不動産の取得と運用を行うプロ集団の力量によって配当が左右されます。 もちろん、取得する不動産の質を見ると分かるように、それなりのリスクがありますから、投資家の期待する利回りは、償還期(2〜3年)までに20〜30%のネットリタ−ンを要求するケースが多くなっています。 また、ファンドへの投資金額は少人数の投資家を対象とすることもあって、投資家一人当たり数千万〜数億円の規模になっていますので、一般の方は対象にはならないと思います。

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