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−J-REITを考える(その5)−    
J-REITの販売戦略
次に、社会的注目度を上げて社会的認知を得ていく方法も商品販売では重要な戦略ですが、JREITを2次産業的に捉えている面があって、3次産業のサービス業的感覚が弱いのも気になる点です。
JREITは不特定多数の投資家にJREIT出資証券を販売することで成り立つ事業ですので、商品販売戦略や販売企画は主要な機能です。
私は資産運用会社の方に、「デペロッパー出身の方には販売の重要性の認識度が弱いのでは」ということを何度か申し上げましたが、これは不動産業界の分業体質にも関係していることなので、簡単には修正できません。
巷ではワンルームマンション等への不動産直接投資需要と不動産間接投資のJREITを比較する動きもありますが、その商品内容を吟味すると、明らかにJREITが優位にもかかわらず、個人層への浸透度では、ワンルームマンション投資が強いという現実があります。 これは、何よりも販売力(訴求対象の絞込みとアプローチ回数等)の強弱が原因だと言えます。
資産運用会社では、証券会社等を、マンション事業と同じように新規販売と中古の仲介販売で成立している傘下の販売会社と同様に見ているのかもしれませんが、これには大きな違いがあります。
マンションの購入者は実需要者中心で、株式や債権に投資する投資家とは全く違う対象です。 その発言力や影響力はマンション購入者とは異なり、短期にしかも直接的にJREIT事業を左右する投資主ですから、当然ながら販売手法も販売態度もマンションとは似て非なるものです。

最近では、不動産業界でも、上の三角を逆にして、顧客を最上位に持ってくるという意識転換も図ってはいますが、証券市場は意識の問題というレベルではなく、日々の現実という厳しい認識が必要なのです。 もちろんこのことは、JREIT側も理解していることとは思いますが、頭で理解しているということを日常の行動と一致させるという努力が必要なのです。
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