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2004. 2.26.Up Dated.
REITのLTV
  
「LTV」とは、「Loan To Value」のことですが、邦訳すると、「総資産有利子負債比率」で、「総資産に対する長短借入金と投資法人債の残高の比率」です。
この比率は、JREITでは、どの銘柄も60ないし70%範囲内に収めると明記していますし、現在は60%を越えている銘柄はありません。
LTVの比率を見る意味は、有利子負債(デットと言います)の返済順位がエクイティ(出資口)より優先されるため、何らかの要因によって収益が減少した場合にも、まず有利子負債の返済が行われ、残余がエクイティ投資家に分配されますから、有利子負債の残高によっては、エクイティへの配当が大きく減少する可能性があるのです。
また、現在の金融環境は史上空前の低金利になっていますが、将来金利が上昇した場合にも、LTVの比率によっては大きな影響がありますから、JREIT投資家にとって銘柄のチェックポイントの一つになっています。
一方、LTVの比率は、エクイティ投資家への配当金を上下させるという効果があり、これを「レバレッジ効果」とも呼んでいます。
JREITの場合、収益が同じでもLTVの比率が高い程、また金利が低い程、レバレッジ効果が利いて、配当金を押し上げることになりますので、投資家にとっては両刃の剣でもあるのです。
つまり、目先の配当金を上げるには、最も金利の低い短期借入金を借りてLTVの比率を上げれば、それだけで配当金の上乗せが可能となりますが、配当金の増額のために安易に利用されると、財務体質の悪化を招くという中長期的な問題を残してしまいます。
 次に、JREITでは、新規上場時や増資後では、LTVが40%以下になっている銘柄が多いですが、これは、上場後または増資後に資産を追加取得するための借入余力を残しておく意味もあります。
仮に、LTVが50%前後であれば、追加取得したい不動産があった場合、多額の借入金を導入するとLTVが上昇し過ぎてしまうという恐れもありますから、常に不動産の追加取得を狙っているJREITにとってはLTVに余裕を持たせておく必要があるのです。
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