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REITの資産価値 その2
  
日本ビルファンド投資法人が取得する予定の物件概要
物件所在地: 東京都港区白金一丁目340番(地番)
土地面積: 4,373.93m2
建物面積: 50,630.91m2(予定)
賃貸可能面積: 33,395.79m2(予定)
取得先: 有限会社プラチナ・インベストメント(SPC)
建築スケジュール: 平成15年9月1日着工
平成17年11月30日竣工(予定)
契約スケジュール: 平成15年9月30日売買契約締結
平成18年3月31日引渡予定
取得価格: 276〜310億円の範囲内
この案件は、三井不動産が白金一丁目再開発計画のコンサルタントとして参画していたことで、NBFに三井不動産から持ち込まれた物件です。
NBFは既に停止条件付売買契約を締結はしていますが、手付金の授受はなく、引渡時一括支払になっていて、資金の先行支出はありません。
取得価格は、実際の賃料水準と稼働率を変数として決定するリアルオプション方式を採用していて、投資法人側では上記の価格幅を発表しています。
この案件は、率直に言って、オリジネーターの三井不動産の全面的な協力なくしては取り組むことは不可能な物件ですので、当然、三井不動産の利益に貢献することになります。
また、最近取得が発表された日本リテールファンド投資法人(JRF)の商業施設で札幌の東苗穂の郊外型ショッピングセンターも同様に開発型案件の取得です。
こちらはオリジネーターの三菱商事が開発したものをJRFが購入する形になっていますので、同様に三菱商事の利益に貢献します。
これらオリジネーターが得る利益は、開発者としては当然の報酬ですし、投資法人のために取得し易い条件や内容を実現してくれるのですから、投資家としては文句を言える筋合いではありません。一部では、これらのオリジネーターが得る利益を問題にしている論調も見られますが、投資家のために無償で働いてくれる人は居ませんので、的外れの議論です。
逆に、冒頭に説明したように、開発型で新築物件を取得する方が投資リスクは軽減されますので、投資家は必要な費用を支払っても開発型を促進させるのが本筋です。
さらに言えば、開発型に取組む銘柄を積極的に評価したり、インセンティブとなるような資産運用報酬の増額を認めたりするという方策も必要です。
市場が開発型への取り組みを後押しすれば、JREITに向けて開発を行う業者も増えますし、競争により物件の質も向上するのです。
ここで、私が申し上げたいことは、出来合いの物件をチョイスするだけで長期の不動産投資が成功すると考えるのは幻想に過ぎないと言うことです。長期に亙って安定した収益を求めるならば、知恵と労力が必要ですし、それを提供してくれる側に充分に報酬を支払わなければ誰も取り組んではくれません。
JREIT投資を長期投資として考えている投資家こそ、目先の配当や株価の上下に惑わされず、この2例のような本来の不動産投資姿勢を資産運用会社に求めていくべきなのです。
また、いつまでもオリジネーターに寄り掛からず、資産運用会社が独力で行えるよう、現状の資産運用報酬を引き上げることさえ考える必要もあるのです。
投資家が不動産投資によって利益を受け続けるには、それなりの戦略もポリシーも必要です。
銀行預金のように、ただお金さえ出せば利息が付くということではありませんから、投資家側にも見識が求められるのです。
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