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2004. 2. 5.Up Dated.
REITの資産価値
  
最近のJREITの株価は、目先の配当利回りによって上昇しているようですが、投資判断のもう一つのポイントである資産価値がやや忘れられている感もあります。
ご承知のように、JREITは有価証券の形に変換されていますが、有価証券の価値は裏付けとなっている投資法人の不動産価値に他なりません。
JREIT投資は、投資法人が自分たちの保有する不動産は○○○億円ですと言うところから始まりますが、この投資法人が主張している不動産価値は投資価値に他なりません。
何故、投資価値なのかは、鑑定評価を見れば明らかですが、DCF法での計算は、現時点での投資価値を積算して算出しています。
不動産鑑定士が一定の根拠を基に投資価値を算出しているのですから、これより高く取引するのはそれなりの理由が必要ですが、現在の市場取引ではその理由が見当たりません。
一方、米国REITを見ると、純資産価値(NAV)に対するプレミアム、またはディスカウントという見方がありますが、プレミアムが付く根拠としては、以下のことが挙げらます。
1.不動産価値が上昇局面にある。(日本では地価が上昇傾向にあるという場合)
2.需要が供給を上回っている
もちろん、これらの要素は、ある程度は不動産鑑定にも織り込まれていますから、鑑定評価で見込んだ以上の上昇があるということになります。
次に、鑑定評価での投資価値は、不動産運用能力を平均的レベルで考えて算出しますから、JREITの資産運用能力が平均レベル以上であれば、将来の期待利益によってプレミアムが付きます。
簡単に言うと、以上の要素が、JREITの純資産価値に対するプレミアムの根拠になりますが、現在の不動産市場では、地価の上昇は考えられませんし、オフィスビルのテナント需要が供給を上回る状況でもありません。
従って、消去法で見ると、今のプレミアムは資産運用能力を根拠にしていると言わざるを得ませんが、不動産運用能力の差では大きなプレミアムは付きません。
最近の株価の高騰や新規銘柄の上場を見ると、純資産価値に対して40%ものプレミアムが付いていますが、これは明らかに不動産投資の観点からは異常です。鑑定評価額に公信性はないとしても、一応、投資価値として算出した価額に対して40%ものプレミアムの付くのは誰が考えても変なのです。
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