■賃貸マンション市場の実態
外人エクゼクティブ向高級賃貸マンション 千代田区・港区等の東京都心部の限られた地区のみで立地可能な商品で、月額賃料がおおよそ50万円／戸以上の賃貸マンションを指すが、もともと市場規模が小さく、かつ入居者の長期安定性も弱いため、大手不動産企業が限定的に供給している市場。
この市場への新規参入は難しく、立地や商品企画だけでなく、貸主のブランド力も関係するので事業としての発展性は小さい。
日本人向又は外人ミドルクラス向高級賃貸マンション 東京都心部に加えて、目黒・新宿・渋谷・世田谷等の城西地区まで立地可能で、月額賃料が30万円前後以上の賃貸マンションを指す。
このクラスは立地可能範囲が格段に広くなるので、事業としての発展性が期待できるが、持家志向の日本では需要の絶対量が少なく、実際には展開が難しい市場でもある。
しかしながら、近年地価下落の逆資産効果により、持家志向にも翳りが見えており、良質な賃貸マンションの供給が増えれば需要を喚起する可能性も含んでいる。
但し、現在の地価は未だ需要を呼び込める水準に達しておらず、もう一段の地価低下が必要でもある。
小規模世帯及び単身者向賃貸マンション １戸当りの専有面積が30㎡以上～60㎡台で、間取りもワンルームから2LDKという範囲の賃貸マンションがメインであるが、従来は需要者側のニーズに合った商品が少なく、今後有望な分野である。
この市場には、築年数の経過した分譲マンションが賃貸に出されていて、新築商品の供給が少ないこと、そして賃貸専用マンションがないこと等で需要をとらえ切れていない分野である。
このクラスでは立地可能範囲は更に広がり、東京だけでなく、周辺都市・地方都市でも供給可能な商品であるが、まだ市場が確立していないので商品企画段階での工夫が必要となる。