■今後のオフィスビルの需要傾向
立地を選び、ビルを建築し、テナントの入居を待つという箱貸しとも言える貸しビル業が、業態として成立する時代が終わろうとしていますが、その直接的原因は、需要の変化(減少)です。
◇需要減少の要因
- 景気の低迷→増床需要の低下
- デフレの進行→売上減少による固定費の圧迫で賃料引き下げニーズが高まる
- リストラの進行→オフィス床面積需要減
- SOHOの拡大→オフィス床面積需要減
- 就業人口動態の変化【団塊の世代の定年】→オフィス床面積需要減
このように見てみると、今後のオフィスビル需要は決して明るくはありませんが、今までが良過ぎたという見方もできます。
一方、オフィス需要の好材料は、
- 2004年以降のオフィスビルの新規供給がしばらく減少傾向に入る。
- 不動産業界にとっては、証券化手法でオフバランスしながら、また新たな資金調達手段よって追加投資余力(リニューアル工事等の実施)が生じる可能性がある。
(所有主体の貸しビル企業も証券化の利用に積極的になりつつある)
- 証券化手法の拡大と共にプロパティマネジメント業務(テナント管理業務等)に注目が集まりつつあって、PM業務の質的な向上によってリーシングノウハウが向上する可能性がある。
1を除いては、すべてのオフィスビルに恩恵をもたらすものではなく、ビルオーナー側の努力によって個別物件の稼働率等が変化する市場へと変貌していくのです。
■淘汰の時代へ
これからのビル経営は、箱貸し業として待ちの姿勢から空間サービス業として攻めの姿勢に転換する必要がありますが、それも業界こぞってというわけには行かず、競争原理が強く働く淘汰の時代に突入していきます。
ビルごとの特徴とメリット・デメリットを冷静に見つめて、差別化をもたらすリニューアル工事を実施したり、また場合によっては、スクラップ・アンド・ビルドしたりする冷徹な判断も必要となるのです。
|