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 REIT関連ビジネスと投資家の立場
  
これらがREITという仕組みの中での主な関連ビジネスですが、よく見るといずれも供給側に立っていて需要側(投資家)の立場でのビジネスではありません。
行政サイドでは不動産鑑定業務は投資家側だと主張するかもしれませんが、不動産鑑定の実態を見れば、それは的外れです。弁護士・会計士のチェックもありますが、彼らが利益相反について疑義を表明したり、取引を停止させたという例もありませんから、投資家側とは考えられません。
それでは、誰が投資家の立場でREITに関わっているのかというと、正直言って見当たりません。 証券アナリストという人達が居ますが、この職種の中立性や独立性は脆弱ですし、証券会社の組織に属していますので、必ずしも投資家側とは言えません。
このように見ると、供給側は大企業を中心としてスクラムを組んで攻勢をかけてきますが、投資家側は個々の力で吟味して判断するしかありません。
果たしてこれが投資市場なのかという疑問がありますが、関係者間の問題意識は薄弱です。
REITが登場する前には、投資家の立場という議論も意見もありましたし、2001年の登場当初は投資家サイドの視点から厳しく評価された時期もありました。REITが2年を経た今日、これらは杞憂だったのか、それとも忘れ去られたのかと言うと、やはり後者です。市場が健全な形で育成されないのは投資家の民度の問題だと言う指摘もありますが、REITはその仕組上からも投資法人と投資家の二人三脚で創り上げるものですから、相方である投資家のレベルを詰っていても仕方ありません。
このような現状を少しでも改善するには、REITの関連業務の一部を公募制にするとか、上場時や増資時のセカンドオピニオンを募集して掲載させると言う方法が考えられます。
不動産鑑定評価では、投資法人側の鑑定評価後に異なる意見を持った鑑定評価書の応募を受け付けてそれを公表するとか、または、予め登録された不動産鑑定士の中から抽選で選んで鑑定評価業務を発注するという方法も有効です。セカンドオピニオンでは、評価書を募集して、それを掲載させるという方法もあります。
投資法人は、投資家の資金を集める器ですが、投資家のための仕組みですので、何らかの措置を講ずる必要があるのです。 現在の投資法人は3名〜5名程度で構成されていて、それぞれ弁護士や公認会計士の資格を有した役員が配置されていますが、寡聞にして、彼らが投資家の為に何かをしたという話を聞いておりません。 例え器であっても、報酬を得ているのですから、発言し行動する義務があるのです。

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