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2003.11.20. Up Dated.
 REIT関連ビジネスと投資家の立場
  
REITが日本に登場してから2年が経過し、資産規模も合計で1兆円を越え、時価総額も7,000億円強にまでなりました。 この数字を大きいと見るか少ないと見るかは人によって違うようで、株式関係からはまだまだ流動性が小さいという声も聞こえてきます。
また、機関投資家からは、REITの保有物件が少ないという指摘もあります。 これらの見方が妥当かどうかは別にして、不動産投資としては2年間で1兆円という規模は決して小さくはありません。
ところが、REITの登場による波及効果を見ると、かなり限定的で、また、広がりも少ないのが実状です。
REIT関連ビジネスの代表格は証券会社で、銘柄の上場時と増資時の引受手数料が収入となります。 特に、REITでは、毎年という単位で増資を繰り返しますので、証券会社では収入予定として計上できるという旨味があります。 REIT投資では、株式のような回転売買による売買手数料収入はあまり期待できませんので、証券会社は引受手数料に群がります。
本音としては、上場時に営業を行い、しばらくじっとしていて、増資の時にまた顔を出すというのが最も効率が良いのです。 実際に、証券会社のこのような営業姿勢をなじる資産運用会社もありましたが、できるだけ汗を掻かずに、収入を得るという考え方は変わりそうもありません。
証券会社に次ぐ関連ビジネスとしては、信託銀行が挙げられます。
こちらは、不動産の信託や資産保管会社、そして一般事務等を受注して手数料を得ます。 更に、REIT各社に不動産売却情報を持ち回って仲介手数料も稼いでいますから、かなり幅広く関わっています。
そして金額的にはやや小さくなりますが、不動産鑑定会社もREITはお得意さんです。
現在のREITの不動産鑑定は2社が独占状態ですので、寡占による収入として今後とも期待していると思います。
REITの物件取得には弁護士や公認会計士も関わりますので、こちらも定期的な収入になっていますし、エンジニアリングレポートの作成(大手ゼネコンが多い)やデューデリ業務(物件調査) も必ず発注されますので、関連ビジネスとしてカウントできます。
更に忘れてならないのは、REITを設立したオリジネーターが挙げられます。 元々ビジネスとしてREITを立ち上げたのですから、オリジネーターは相応のリターンを求めます。
物件売却や物件仲介、資産運用業務、PM業務と川上から川下まで密接に関わりフィーを求めます。
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