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2003.10.30. Up Dated.
 個人投資家とREITの関係
  
個人マネーで投資を行う人を個人投資家と言いますが、インターネットを利用して頻繁に売買を行うマニアックな個人投資家から、預貯金の一部を投資しているサラリーマン投資家や主婦投資家、そして個人といってもかなりの金額を投資している富裕層と内容はかなり幅があります。現在のREITの個人投資家を見ると、マニアックな層と富裕層にはそこそこ認知されていますが、一般的なサラリーマン投資家や主婦投資家の認知度はかなり低いようです。
2001年9月にNBFとJREが登場したときは話題を呼び、これらの一般投資家からの注目も浴びましたが、その後は後退していますし、各銘柄が決算期に発表する投資家層の分析でも、個人投資家比率の減少が目立ちました。 この傾向はもう少し続きそうですし、今のところ目立った改善策もないこともあってニッチ商品の域を出ません。
REIT発足当初には、一般投資家層誘引の期待がありましたが、最近は、先発銘柄の株価が比較的好調なこともあって置き去りにされている感もあります。
この理由はいくつか考えられますが、何よりも銘柄側が一般投資家層の開拓に積極的でない事が挙げられます。
例えば、現在上場している8銘柄はそれぞれWeb上にHPを開設していますが、この数は、ネットサーフィンするだけでも時間が掛かりますし、ニュースリリース等の掲載内容は業務用告知という体裁になっています。 何が投資家にとって重要な事柄なのか、どのイベントに注意を払わなくてはいけないのかという軽重もなく淡々と情報開示されています。
その上、REITは年2回の決算があり、その都度、かなりの量の決算報告書が掲載されますが、 決算内容の解説や相互比較等はありません。
普通に考えれば、この状態で、個人投資家がREITの善し悪しを判断することは不可能だと思われます。 それでも、建前上は個人投資家層の拡大を謳う銘柄が多いですが、中には、正直に、機関投資家等の投資専門家への売り込みが先で、個人投資家はその後だと言うところもあります。 この状態は「何かおかしい」と思う関係者も居ますが、日常業務に埋没してしまうと、問題意識としては残っていても行動が後回しという事になります。
また、銘柄側の個々の担当業務からみると、個人投資家層の拡大は、IR業務に大きな負荷が掛かりますし、事務処理コストも嵩みますから、それなりのインセンティブが無ければ本気には取組みません。 まして、株価がそこそこ安定して、増資も順調ならば面倒で手間の掛かる問題は先送りされます。 見方によっては、これも一般的な現実だと思いますが、この様な状態で拡大が続くとREITにとって不幸なことが起きる可能性もあります。
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