◇トップ |
−REITの増資と情報インフラ− |
REITが増資するには、証券会社に引き受けてもらう必要がありますが、この時、発行価額と発行価格の差額が証券会社の引受手数料となります。
ちなみに、JPRの増資では、1口当り約8,300円の手数料となり、投資家への配当金(第3期配当金は6,873円/口)よりも多くなっていて、総額では約11億円に達します。 この引受手数料は結果として投資家の負担になりますので、毎年繰り返される増資の都度に投資家は多額の引受手数料を証券会社に支払うことになります。 投資法人側からみても、常日頃、極力経費削減を意識して少しでも配当金を増やそうと努力しているのにも拘わらず、増資の都度に、1回の配当金より多い手数料を証券会社に支払わなくてはならないのは不合理でもあります。 もちろん、証券会社側にもそれなりの言い分はあると思いますが、投資法人と投資家間の情報伝達がスムーズになれば、引受リスクも小さくなりますから、引受手数料が減額されることに繋がります。 反対に、REIT情報が投資家に充分に伝わらず、投資家も必要な情報を自ら収集する努力を怠れば、依然として、配当金より多い手数料を払い続けることになります。 本来、投資行為は合理的であるべきですが、REITの場合、情報インフラが未整備という現実と投資家の情報収集の努力不足が投資行為によるリターンより多い中間経費を負担しているのが実態です。 このことは、REITの歴史が浅いということも関係していますが、いずれこの不合理性が浸透すれば投資家の離反を招きますし、REITへの信頼も失うかもしれません。 日本の投資環境では、依然として、情報不足を利用したり市場の歪みを捉えたビジネスが主流ですが、本来は、資本出資を募る側と出資に応じる側との情報伝達を多くし、透明性を高め、リスクに応じた適正なフィーを負担するというのが健全な姿だと思います。 REIT各社もこの方向には異存がないとは思いますが、投資家の意識が株価の動きだけを見て一喜一憂するという状態では改善するのは難しいだろうと思います。 投資家が、投資判断と投資継続に対して、通常の注意力とある程度の努力を行うとする意識がなくては市場の健全化に繋がる情報インフラの整備は進まないと思います。 |
<< 戻る |