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−REIT新規上場について−    
  
このように9銘柄で6分類に分かれますので、投資家にとっては各銘柄の特徴を理解しながらの投資判断が必要となりますが、保有資産の内容を分析した上での銘柄情報の提供がありませんので、投資家にとっての環境は必ずしも整っていません。
特に、商業施設系と賃貸住宅系の分析が少なく、投資家は机上の数字のみで判断せざるを得ない状況にあります。 この辺は、投資情報を提供している証券会社にとっても問題となっているようですが、オフィスビルのように市場状況や空室率等を提供してくれる企業や機関が、賃貸住宅や商業施設にはなく、独自で調査しなくてはならないという難しさがあります。 また、商業施設では分析の前提となるデータが少なく演繹的な検証が難しいですし、賃貸住宅に限ってはそもそも商品性や市場が分らないというのが実態だと思います。
一方、投資家側も、株価動向のみで銘柄判断をしている傾向にありますが、短期売買で利鞘を得る投資商品ならばそれでも良いのでしょうが、配当金期待で保有する投資商品として考えれば、銘柄の特徴や可能性、そして銘柄間の比較情報等が欠かせません。
日本の投資環境はまだ未成熟な部分が残っていますので、本来、必要とすべき投資情報が揃っていなくても投資行為は起こしますし、結果としてもマイナスが生じても、「赤信号皆で渡れば恐くない」というのが個人リスクで行っている投資家以外の本音なのかもしれません。
何れにしろ、市場に上場される銘柄数が多くなり、それぞれが特徴を持ち始めると、銘柄の分析や対応する市場との相関、そして市場における競争力という点が、ファンドのパフォーマンスに大きな影響を与えます。このような分析情報は、大学等の研究機関の範疇を越えていますので、専門の投資情報提供会社が必要ですが、現在のところほとんど存在していません。
筆者はこのような投資インフラの必要性を以前から主唱していますが、日本ではビジネスとして成立する可能性が低く、名乗りを上げるところがありません。
そこで、このサイトでも案内している「REIT DATA サイト」を立ち上げました。
このサイトでは、商業施設の分析や賃貸住宅の分析も掲載されていますし、上場予定銘柄の目論見書の解説版もいち早く掲載する予定ですが、これらの詳細な分析や情報を必要とする投資家がどの程度存在するのか未知数です。
これからも上場銘柄は増えていきますし、増資も高い頻度で行われますが、市場の整備が遅れているのと、「情報はフリー」という投資家意識が壁になっている点が、ファンド側、投資家側双方にとって不利益を生じています。
REIT市場の将来を考えると、市場の歪みを利用して投機を行うという日本の投資環境が改善されていくことが望ましいのですが、このためには、志のある関係者の努力が必要だと感じています。

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