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2003. 8. 7. Up Dated.
−J-REITの資産運用会社の課題−    
  
日本では、(不動産)資産運用会社という業種は、ほんの2〜3年前に登場したばかりです。以前は、ビル賃貸会社の一部門であり、担当部署もビル管理部門という名称を使用していました。 不動産の運用を専門に扱う会社は、外資系の不動産バルク(纏め)買いによって需要が起こりましたが、その実態はPM業務に近く、また運用業務の主流は保有不動産の転売の仕事でした。
REITという不動産を長期保有してそこから生じる賃料収入を配当原資とする仕組みが登場してから、資産運用会社が保有不動産の運用という業務を開始したといっても過言ではありません。
現在、不動産の資産運用を行っている会社は、JREITの資産運用会社を含めて数10社にのぼりますが、新しい業種ということで、何処も人材確保に四苦八苦しているというのが現状です。

資産運用会社は人材難
JREITの資産運用会社6社は、株主でもあるオリジネーターからの人材派遣によって体制を作っていますが、それでもAMマネジャークラスの人材が不足しています。 バックアップしてくれるオリジネーターが存在しない資産運用会社や、オリジネーターが不動産系以外の場合では、更に人材を確保するのが難しくなります。 JREITに進出を予定している資産運用会社でも、運用責任者クラスの確保はでいても、AMマネジャークラスは数的にも質的にも確保に苦労しているようです。
かつてのように不動産を保有していれば、土地の値上り益によって資産価値が上昇した時代では、資産運用という業務が注目されませんし、必要性も少なかったので、AM(Asset Management=資産運用)業務を専門に扱う部署も人材も育ちませんでした。
不動産証券化協会などの業界団体でも、AMマネジャーの育成を今後の重要課題として取り組むようですが、資産運用業とは何かという業種定義や必要な知識というのが明確にはなっていません。 実際に、JREITの資産運用会社ではOJT(On the Job Training)によって人材を育成している段階ですし、それもオリジネーターからの出向社員という立場なので、恒久的な体制ではない所も多いのです。  
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