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角を矯(た)めて牛を殺す
  
各証券会社は上場銘柄への引受競争を行っていますから、自分たちが下りれば、何処かが引き受けてしまうという懸念がありますので、簡単には下りられず、引受シ団に入ってしまうという事のようですが、当面の引受手数料という「角」を矯めることで、JREIT自体の信頼性を低下させるという事に繋がります。
専門家である証券会社が、「福岡リート投資法人」の用いた手法が資本市場にとって望ましいか否かは一目で分るとは思いますが、このような良識を現実に発揮させる事が難しいのが今の社会だとも言えます。
利益を優先するのは資本主義の原則ですが、利益という概念は、単に、貨幣換算価値や目先の売上げだけではないと思います。
個々の利益と全体の利益、短期利益と長期利益は場合によっては矛盾することもあります。
だからこそ、冒頭の「角を矯(た)めて牛を殺す」という警句が存在しているのですが、実際の企業社会では、なかなか生かされません。
今回のケースで少ながらず疑問を抱いたり、不満を持ったりした関係者も多いとは思いますが、そのような声が生かされないのが現実ですので、無力感も覚える人達が居るかもしれませんが、社会には常に矛盾と非常識が存在します。
一つ解決しても、又、次の矛盾が登場して、きりがありませんが、健全な社会とは矛盾や非常識が存在しない社会ではなく、これらを解決していこうという人達が絶えない社会です。
その意味でも、JREITに携わる方達にお願いしたいのは、このような事で無力感を持たず、引き続きそれぞれの持ち場で精進し、問題解決型の人材になって欲しいという願いです。
今回は、JREITという小さい社会での出来事ではありますが、今の社会全体に漂っている問題と共通している面もありますので、是非この機会に自分なりに考え結論を出してこれからに生かして欲しいと思います。
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