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−REITの今後を占う−    
  
一方の投資法人側も、ここにきて最初の顔見せから本格的な競争に入ろうとしていますので、上場済みの6銘柄に加えて、新規銘柄が2銘柄程度登場すれば、まさにレース状態になりますので、市場に勢いが出てきます。
証券関係では、依然としてREITを懐疑的に見ている節もありますが、投資市場を自己の収益源として見るだけでなく、その育成と健全な発展に寄与することで、自己の存続を図るという姿勢に転じれば、REITに対する見方も関わり方も変わってくると思います。
財務省も長期国債の利回り上昇により、新発国債の発行に支障を感じているようですが、得意の対処療法だけでなく、投資市場を整備して、資金の流れを穏やかにして、正常な投資資金を誘引するという大所高所に立った政策も必要だと思います。
このように論理的に考えれば、REITの必要性、将来性は見えてきますので、あとは時間の経過とREIT市場の整備次第だと言えます。
既に、投資法人側や新規参入を目論んでいる企業等は後戻りできない状態ですので、供給側の問題よりは、投資家側へのアプローチが重要ですが、REITの資産運用会社も証券会社任せだった投資家層の拡大に自らが動き始めようとしています。
また、不幸中の幸いと言うか、証券会社がREITに積極的でなかったことにより、REIT投資は投資家自らで考え判断しなくてはならないという本来の投資姿勢を持たざるを得ないという状況にもあります。
従って、投資家が考え判断する材料がより多く提供されるようになれば、市場整備は更に進みますので、最初の成長路線に入る可能性が高いのです。

一方、投資家にとっては、株式市場が回復基調になれば、選択範囲が広がりますから、本来の投資姿勢である投資分散を意識しながら、株式市場、債券市場を物色しつつ、REITも視野に入れておけば良いのです。
そして、REITをミドルリスク型の投資先として判断する材料が入手できれば、分散先として投資するという姿勢があれば充分です。 そして、以上述べた状況が実現され始めたり進捗したりするのであれば、REITは日本の投資市場に根付きますし、発展もするでしょう。

私は占い師ではありませんから、「REITの今後を占う」と言っても、予測を積上げるだけで将来を見通すことはできませんが、論理的(自己の論理ですが)帰結としては、REITが成長路線に乗る可能性が高いと考えています。
このコラムを数年後に読み返してみれば、全てが当ってはいなくとも、REITが確実に成長路線に乗っているという状況だけは実現していると思います。

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