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2003. 6. 5. Up Dated.
−J-REIT株価推移をどう見るか(その3)−    
  
J-REIT各銘柄を株価推移から見る

このシリ−ズを書き始めた5月15日の株価と、5月末時点までの株価推移を見ると、一旦上昇しながらも、調整が入りやや沈静化する傾向にあります。
何度も言うようですが、JREITはまだ上場資産規模が大きくはないので、ちょっとした材料によって短期の価格変動を起こすのだと割り切った見方も必要となります。
5月の最終週にはJREの株価が、突然、3.3万円も下げたりしましたが、これも、大口の売りが出た事による急落だと言えなくはありません。 ただ、以前ならば、大口取引が場外で行われる場合が多かったのに、最近は、市場取引になったという点は、何らかの変化の兆しなのかもしれません。
JREITも以前に比べれば、市場の出来高も大きくなりましたし、投資商品としての認知が進んだことにより、市場での動きが株式と同様の傾向を表すこともありますが、本来であれば、各銘柄の資産内容と運用状況が株価に反映されるというのが正常な状態だと言えます。
JREITへ投資している多くの人も、株式のような値動きではない投資商品を期待していますので、銘柄毎の分析情報の必要性が増してきているとも考えています。
そこで、今回は各銘柄の株価と特徴を関連付けた見方をご紹介します。 なお、あらかじめお断りしておきますが、必ずしも現在の市場株価が各銘柄の特徴をストレートに反映して形成されている訳ではありませんし、十分な根拠を持って株価が推移しているとも思えませんので、あくまでも現状の株価と特徴を私の推測で論評する形になります。

◇日本ビルファンド投資法人(NBF)/8951
2001年9月に日本初のJREIT銘柄として登場したファンドですが、公募価格が625千円/口と、計算上の額面価格に対して25%のプレミアムを付けた価格となり、商品に対する市場の理解度の低さから、しばらく市場価格は公募価格割れを続け低迷した。   
2003年に入り、ようやく株価が公募価格を上回るようになり、現在はJREと並んでJREIT株価の最高値を維持している銘柄である。   
この株価の根拠はオリジネーターとなっている三井不動産の企業評価の影響が大きく、必ずしも資産内容や運用状況がストレートに反映されている結果とは思えません。   
JREITを株式のように美人投票的に見れば(誰が美人かではなく、誰がより多くの人の支持を集めるかという見方)、この株価はうなずけますが、NBFは他の銘柄とは一線を画した資産内容になっていますので、もう少し実力を見て判断する必要があります。   
投資家の中には、NBFを中核としてJREIT投資を行っている人も多いようですが、不動産業界における三井不動産の実力を見れば、このような間接評価も、あながち間違ってはいないのではないかというのが私の所感です。   
但し、NBFは2003年のオフィスビル大量供給の影響を最初に受けていますので、当面の運用状況を見ると投資家にとっては気になる点があると思います。   
この銘柄は、分析対象としては非常に興味をそそる対象ですし、私自身も過去3回の評価書を作成していますが、JREITの一つの方向を端的に表している銘柄なので、投資家にとってもこの銘柄を研究する事が大事だと言えます。
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