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2004. 8.12.Up Dated.
不動産業界と証券化の波
  
先日、昔の仕事仲間と会う機会があって、不動産業界の実情に話が及びました。
昨年、一昨年では不動産の証券化やJREITという話は話題になりませんでしたが、今年は、JREITは皆知っていましたし、不動産証券化が分からないと不動産の仕事が出来なくなりそうだと意見が大勢を占めるようになりました。
ようやく証券化が認知されるようになったのだとは思いますが、一方、不動産証券化を実務に取り込む難しさに意見が集中しました。 出版されている本を読んでも、実務に生かせそうもないとか、今更、本を読んで勉強というのも、という意見が大半です。
これは私の周りだけではなく、不動産業に携わる者の本音ではないかとも思いますが、このままでは一部の大手を除いて不動産業界は不動産証券化の波に取り残されることになりそうです。
確かに、JREITを含めた不動産証券化事業は、従来の不動産知識だけでは理解出来ませんし、金融・証券の用語や視点も用いなければなりません。
今から不動産を始める人ならば、その前提で時間を掛けて習得すれば良いのですが、既に、従事している人は明日にも使える知識が必要のようです。 景気が回復基調になり、不動産の開発気運も少しずつ盛り上がってきているようですが、従来の手法では資金調達もままになりませんので、証券化手法を利用してという言葉は出ます。しかし、実務上どうするかということになると話が途切れてしまうようです。
仲間の中には、特殊法人で不動産開発を行う責任者も居りますが、証券化手法を語るだけの知識がなく地方公共団体への挨拶回りに終っているようです。
これは不動産業界だけに限ったことではないかもしれませんが、上層部は今までの経験と肩書きで何とか時間稼ぎが出来ますので、敢えて難しい新手法である不動産証券化を使いこなそうという意欲が湧かないようです。
私は普段はREITの中で活動していますから、話をする相手も資産運用会社の方になり、不動産証券化の最前線の話題ばかりなので、不動産証券化を実務に生かす難しさというのが、今一つ理解出来ません。
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