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季節感
  
大手企業をバックにした銘柄の多くは、オリジネーターからの出向者によって支えられていますが、JREITを見るポイントの筆頭に、資産運用会社の実力と人的能力があります。
いかに優秀な人材が送り込まれていても、いずれは出向元に人事異動で戻るとなれば、投資家から見ると不安定な状態が続きます。
JREITを本来の長期投資商品として見ている投資家にとって、これは重要な問題もありますが、大組織では「人心一新」という理屈で定期的に人事異動を行います。
REITの資産運用業務は、たとえ不動産実務経験が長くても、どこまで通用するかは未知数でもありますし、不動産以外の知識や概念、そして何よりも将来の変動を想定した着実な努力が求められます。 関わる人間も不動産業界以外が多くなりますので、従来の業界常識は通じませんし、見方も視点も異なる人達に取り囲まれています。
REITは既に不動産業界だけのものではありませんから、新しい環境に適応した人材に腕を振るってもらう必要があります。 そのためにも、より多くの銘柄が、出向体制から早くプロパー体制に移行してもらう必要がありますし、また、それが投資家に対する責任でもあります。
私は、資産運用会社の経営者に会うと、いつもこのことを言いますので、先方からプロパー社員と出向者の比率を話してくる銘柄もあります。ユナイテッド・アーバン投資法人のように最初から社長や資産運用部長をプロパーで固めてくる銘柄も登場していますから、今後はもう少し体制に対する意識が高まるとは思います。
投資家が株価の動きだけではなく、資産運用会社の人的な体制や個々の能力を見るようになれば、オリジネーターの都合に合わせた中途半端な出向体制で資産運用会社を構成することが出来なくなりますので、ぜひこの機会に資産運用会社の体制にも目を向けて欲しいと思います。
それにしても、今回のNBFの人事異動は、組織の論理としては止むを得ないとは思いますが、いかに優秀な三井不動産の社員を持ってしても、4〜5年のサイクルで異動を繰り返せば、凡庸な人材の10年のキャリアには及ばないと言うことにもなりますので、体制について改めて考えて欲しいと思います。
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