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高所恐怖症
  
JREIT登場当初は、マスコミもかなり批判的な眼で見ていましたし、厳しい論調も多くありましたが、最近では、提灯記事の方が多くなっています。
日本ビルファンド投資法人(NBF)は、上場当初にはオリジネーターとの関係を批判されましたし、日本リテールファンド投資法人(JRF)は商業施設の収益脆弱性を突かれて株価が低迷していました。
引受証券会社も高値公募で痛烈な批判を浴びたこともありますが、最近のJREITの新規上場や株価の動きを見ていると、これらは遠い昔のような気もします。
投資家から見れば、全てを委ねている資産運用会社が傲慢になっては困りますので、常に高所恐怖症で居てくれるように仕向ける方が賢明なのですが、日本の投資家は投資先に最高のパフォーマンス(目先の配当率のことではありません)を促すことよりは、株価の上下で売買益を得ることを優先させる傾向があります。
REITのように短期的に収益が変動しない投資先でも、何とか株価を変動させて利鞘を得ることを目的としている投資筋も横行しています。
多くの銘柄は、REITのような新しい商品は、個人投資家より先に玄人投資家(?)である機関投資家等に広めると言いつつも、結局は金融機関による株式持ち合いと同じ構造になってしまい、物言う大口投資家もほとんど現れません。
本来であれば、大口投資家が資産運用会社に常に厳しい注文を出し、また、外からは辛辣な意見や見方が出されて、いつも資産運用会社が緊張感に包まれている状況こそ、多くの投資家にとって安心出来る環境なのです。
目先の配当原資を増やすために資産運用報酬やPM報酬を減額してくれるよりは、パラノイヤ(偏執狂)とでも言えるような心配性の資産運用をしてくれる方が、結局は投資家利益に添いますし、そのためにも、資産運用会社が高所恐怖症を持ち続けるような働きかけが必要です。
幸いにも、最近の上場銘柄では、比較的若い経営者が多くなっていますので、これらのプレッシャーにも耐え得ると思えますので、「鉄は熱いうちに打て」というREIT市場に向かうよう、この辺りでもう一度ネジを巻いてはどうかと思います。

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