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REITの銘柄分析の視点
  
簡単に言うと、「駄物」の不動産を買っても資産としては一定の価値が計上されますが、実際の価値は資産価値を下回ります。 また、築年数が経た建物を購入しても、DCF法による鑑定では一定の価格が算出されますが、この価格には建替時期が迫っている建物の復帰価格(10年後の売却想定価格)というかなり曖昧な価格が含まれた上での資産価値になっています。
今日のJREITでは、未だ、建替えスキームが開発されませんので、築年数の経た建物への投資は資産価値が減少していくので、多くの銘柄が平均築年数を意識した取得を行っていて、大半が12年前後に納まっているのです。この辺りは、資産運用会社の考え方によって左右されていて、当面の収益性を重視して築年数をあまり意識しない銘柄もあります。
多くの投資家が目先の配当利回り(2期程度)を見て投資判断をしていますから、築年数の経た建物は利回りが高いので有利にも見えます。
一方、不動産市場では、築20年と築10年の建物では、当然老朽化リスクを織り込んで、築20年の建物に高い利回りを要求していますが、JREITではあまりこの区別をしていません。
これは、投資家が不動産の質を見ないということなのでしょうが、不動産投資として見れば問題です。
JREITを長期投資として考えている投資家にとって、保有資産の築年数はかなり重要なファクターですが、築年数に比例した利回り水準という明確な基準がありませんから、査定する人によって見解が異なります。
私自身は、築15年を超えると最初の修繕時期に達すると見ていて、築20年でテナントからの老朽化クレームが増えると考えています。そして30年を越えれば、建替えを前提で投資を行うのが常識だと思っています。
グローバル・ワン不動産投資法人が平均築年数を10年以下にしているのは、テナントからのクレームを少なくしたいということだと聞いていますが、これからのオフィスビル市場の競争を考えると、有効な方法だと言えます。
他の銘柄も、一部を除いては出来るだけ築年数を下げるような取得を行っていて、可能ならば10年前後に引き下げたいと考えています。
REITは長期の不動産投資ですから、5年先、10年先を睨んだ運用が資産運用会社にとっては必要です。 このことを分かっている資産運用会社ほど平均築年数を意識しているのです。

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