◇トップ |
野村不動産オフィスファンド投資法人の上場 |
私は、REITの登場から一貫して各銘柄をウオッチしていますが、最近のREITは少しずつ変質してきているという見方をしています。 当初は、投資家サイドの視点が強く、利益相反や保有物件の質、入手経路等もチェックされていましたが、銘柄数と保有物件数の増加により、片手間になっていき、配当実績と予想配当率だけという結果重視に偏りつつあります。 投資には目先の結果も重要ですが、物事には因があって果があります。 REITのように保有不動産から生じる賃料等によって投資家の配当が捻出される商品では、配当原資の現状と将来性が何よりも重要な情報ですが、この点がますます疎かになりつつあります。 また、抽象的な言い方になりますが、不動産は経験的に見て、入手段階での検討の程度によって、後の結果を左右します。プロセスを無視しても結果が良かったのは、バブルの時だけだったと言えます。 今回の野村不動産オフィスファンド投資法人の体制を見ると、TRIと同じく、オール野村不動産グループで支えるという形になっています。 このこと自体は問題ではありませんが、オリジネーターとの利益相反に関しては、より厳密にチェッックする必要があります。 既に、REITの全銘柄がオリジネーターとの密接な関係を繋いでいますので、利益相反チェックはREITに共通する重要問題ですが、社内のコンプライアンス(法令遵守)制度に全てが委ねられています。 組織社会でのチェック体制の甘さは、行政組織や企業の不祥事を見れば明らかなように、問題解決の手段としての機能は期待できません。 REITに従事する者のみが、高い志と克己心を持っているという事なのでしょうが、出自が不動産では説得力に欠けます。 現状のREITを見ると、株価が好調な上位銘柄は我が世の春に浸っている感じがありますし、下位銘柄は目先の事で手一杯です。 その中で、新規銘柄が次々と登場してきますので、段々と収拾の付かない状況に入りつつありますが、今のところ対応策はありません。 このままでは「交通事故が起こらなければ信号がつかない」というところまで引っ張るしかありませんが、REITが本来持っている可能性と社会的役割を考えると情け無いと思います。 |
<< 戻る |