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−REITの売りと買いを考える−    
  
そこで、今のREITは個人にとってどう考えれば良いのかということについて筆者の考えを申し上げると、
  1. 高値安定銘柄については、取得価格が下回っている限り、当分は保有している方が確実な投資効果を上げられそうです
  2. 低位銘柄については、買い進むのはもう少し様子をみて、既に、保有している分は将来の楽しみとして大事に保有しておく
  3. 今後実施される新規銘柄の上場と、既存銘柄の増資のタイミングが取得のチャンスですので、新規上場と、増資の公募価格を比較しながら自分の目的にあった銘柄を選ぶ
  4. REIT全銘柄を投資対象にする場合、情報が多くて、分り易い内容の解説のある銘柄を選ぶ
  5. 銘柄選定は、株価の動きではなく、資産の内容と質を重視して行う
という事になります。
筆者は2001年9月のREIT登場から、継続的に各銘柄を見ており、その後の市場評価や株価変動も承知しておりますが、REITは暗中模索の第一段階から、ようやく脱しようとしている状態だと見ています。
REITが投資商品としての存在をアピールしていくのはこれからですので、個人投資家が、今、離脱するのはもったいないと思います。 REITの買い側に回っている金融機関も、REITに関する情報は個人と同じレベルでしか入手できていませんので、売りと買いの違いはREITに対する現状認識の相異だと言えます。
次に、外国人投資家の減少について見てみると、やはり、投資家情報の不足と日本の不動産事情の理解の難しさが挙げられると思います。 日本のREITには米国のようなインデックスもありませんし、不動産投資の範疇に入るREIT投資に必要な不動産情報や分析がありません。 米国REITなどで重視されている資産運用の状況やPMの状況と言ったモニタリングデータも、日本では、自らが資産運用会社に問い合わせしなくては得られませんので、後退気味になるのは当然かもしれません。
このように見てみると、REITそのものは、上場後からの資産運用会社の努力によって、ようやく形を為してきましたが、投資環境のインフラ整備が後回しになっていることが響いているようです。
個人と外国人の売り越しが何を意味しているのか、このまま進めばどうなるのかという問題意識を持つことが必要ですが、この問題に取り組めるのはREIT側の資産運用会社しかありません。 全てのREIT投資家にとって、情報提供の改善や工夫は恩恵がありますし、積極的な広報活動は安心感を与えますので、是非工夫をして欲しいと願っています。

REITの新規上場銘柄について
東急リアル・エステート投資法人が9月10日に東証に上場開始致しますが、この銘柄は、「TOKYU」ブランドを前面に出してアピールしています。 運用方針も、東急らしく、都内5区と東急沿線と限定していますので、市場評価はブランドで評価するか、東急沿線という地域の不動産特性を考慮した評価を行うかの何れかになりますが、募集証券会社では前者で考えているようです。 ブランドを全面に出す考え方はオリックス投資法人と似ていますが、目論見書を見ると更に徹底している感があり、有価証券販売というよりは不動産販売に近い手法にも感じました。
この銘柄については、今月中に解説版を頒布できるよう現在作成中です。改めて案内させて頂きます。

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