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2005. 8. 4.Up Dated.
J-REITの投資判断基準について
  
先日、JREITの大口投資家と会ったので、投資基準について尋ねたところ次のような話がありました。
「最も重視するのは資産運用会社の責任者の考え方と志です」
「これだけ銘柄増えると保有物件の質の比較は難しいので、新興銘柄への投資は慎重にならざるを得ません」
「既存銘柄も株価が高くなり過ぎたと思えば、売りに回ります」
この中で、特に興味深かった「資産運用会社の志」という見方について聞いてみると、
「最近の銘柄は、魅力ある人物が減っているように思えます」
「責任者の話を聞いてみて、この人ならと思えるような情熱と夢を持っているならば投資します」
との答えがありました。
このような見方は、私が以前より専門家向けセミナー等で話している内容なので、興が乗って個別銘柄毎の話になり、各銘柄の寸評になりました。
この寸評は大変面白いのですが、あまりにも内容がはっきりしていて、とてもこのコラムでは書けませんが、面白かったのは、評価がほとんど一致していた事です。
大口投資家となれば、各銘柄の責任者と話をする機会も多いのか、人物論も含めて良く見ているなという印象でしたが、人物の見方については、大きな差がないのが分かりました。
勿論、大口投資家と言っても組織に属しているので、全てがこの考え方で投資している訳ではないと思いますが、資産運用会社の人物論は投資家にとって最も見易く、且つ、分かり易い項目です。
又、JREITを黎明期と今日に分けて、必要とされる人物像とそれぞれの役割についても話が及 びましたが、黎明期では光っていた人が、今日ではそれ程の輝きを持たなくなってしまったという見方でも一致しました。
資産運用会社から見れば、人物論まで言われるのは心外かも知れませんが、今のJREIT の状況では、投資判断の重要な拠り所でもあります。
実は、このコラムで敢えてこのような事に触れた趣旨は、最近の新興銘柄に共通している不満があるからです。
最近、上場してくる銘柄の保有資産を見ると、以前のように誰が見ても「劣る」という物件が少なくなって、一定レンジの幅の中での優劣になっています。
一方、資産運用会社の体制を見ると、雇われ的な責任者が多くなっているようにも思えます。
これは、オリジネーターの問題でもあるのですが、実務クラスの若手には活きの良い経験者を引っ張ってくる事は出来ますが、責任者となるとオリジネーターの社員か、又は、何らかの関係のあった人の中から選ぶようになっています。
概して、日本の企業は、責任者の選抜には中庸感覚が働き、可もなく不可もなくといった傾向が見受けられるのと、オリジネーターの責任者の器量と度量によって新しく設立される資産運用会社の責任者の質が左右されてしまうという面があります。
又、未だに年功序列に拘って精力的に動ける40代の起用を見送るケースもあるようですが、J REITのような仕組みでは、資産運用会社の責任者の重要度は、一般企業に比べても高くなりますので、保有資産の質に加えて資産運用会社の責任者の質も同じくらいの感覚で選んで、JREI Tに進出して欲しいと思います。