コラムトップ
2023. 8.25.Up Dated.
BRICSの共通通貨(続報)

 8/22に南アフリカで開催されたBRICS首脳会議の内容が順次加盟国から発表されていて、その中には大変大きなニュースが含まれています。
先ず、BRICS共通通貨の導入は先送りされましたが、これに変わって当面は自国通貨での取引になると発表されました。 そしてサウジアラビアのBRICS加盟が発表されましたから、これに基づいて日本のケースで考えてみます。
サウジアラビアの通貨はSARと呼ばれるサウジアラビアリアルですが、現在の円との為替レートは1SAR=約39円になっていますので、原油取引価格がどのレートになるのかが気になります。
BRICSはドル離れを加速すると発表していますから、ドルを基準とした為替レートがそのまま適用されるとは限りませんので、日本の原油輸入価格がどのようになるのかは日本経済の死活問題でもあります。
現在の為替レートから円高に振れるとしたら、原油価格は下がりますから、これは日本にとって朗報です。
勿論原油取引は長期契約になっていますから、直ぐには影響は出ませんが、貿易相手国同士の話し合いによって決められるのであれば、日本にとっては有利に働きます。
その理由は、将来の通貨は金本位制通貨によって1:1になると予想されますから、日本の原油取引価格は下がる方向になります。
但し、日本がBRICSに加盟していないのであれば、ドルでの決済になりますから、1SAR=約39円で原油を買わなくてはなりませんが、BRICSへ加盟すれば円とSARでの取引になり、この場合は円高になり原油価格は下がります。
どちらが日本にとって良いかは一目瞭然ですが、仮に日本国内でのガソリン価格が上がる一方であれば、日本はBRICSに加盟しておらず不利な取引を続けていることになります。
恐らく原油取引に関係している商社は動揺していると考えられ、将来の見通しが難しくなっていそうです。
換言すれば、日本もBRICSに正式加盟すれば、円で原油を買う事が出来ますから、大変有利になりますので、これだけを考えれば日本に選択の余地はありません。
逆に、欧米諸国へ追随して飽くまでもドル取引を続けるのであれば、欧米同様にガソリン価格の高騰は避けられません。
ガソリン価格の高騰は物流費用に跳ね返りますし、原油を使うエネルギー価格も上昇しますので、全ての商品の価格が上昇してインフレ(正確にはスタグフレーション)になり、私達の生活を圧迫します。
こう考えると、日本のように諸外国との貿易で成り立っている国は、既にGDP比で西側諸国を上回っているBRICSへの加盟一択になるのです。
これは日本にとって大変重要な政策決定ですが、殆ど報じられず論点も提供されていませんので、多くの国民はツンポ桟敷に置かれています。

次に、BRICSからの重要な発表として中国がアフリカ諸国への債務免除を発表した事です。
先行してロシアがアフリカ諸国への債務免除を発表していますが、中国の債務は桁違いに大きいですからアフリカ諸国にとっては青天の霹靂とも言えます。
債務免除は大変大きな決定で、特別の事由がなければ発動されませんので、それだけの事由が中国とアフリカ諸国との間に存在しているという事になります。
一体どんな事由があるのかが気になますが、個別に考えていては答えが見つかりそうもありません。
私のような視点からみれば、自然の流れに見えますが、従来の常識と世界観に縛られていれば全く理解できないイベントになります。
今は事実を聞いても全体を理解していなくてはその意味や意義が分からない時代ですので、先ず従来の常識や世界観から離れて考察していかなくてはなりません。
それだけ難しい時代とも言えますが、その指し示す方向は大変良い時代に変わる過程ですので、楽しみにしてもう少し待てば良いと言えます。


Copyright (c) SYC Inc. All rights reserved.