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2023. 8.18.Up Dated. |
BRICS共通通貨について |
8/22にBRICS首脳会議が開催されることになっていますが、そこでBRICS共通通貨について話し合われる予定になっています。 BRICSへは既に世界23ヶ国が正式加盟申請していますから、BRICS共通通貨が採用されることになるとドルの支配体制を大きく揺るがすことになりそうです。 BRICS共通通貨については、アナリスト達の見通しが二分されていますが、正直言って彼らの見通しはどうでも良くて、個々人が中立且つ客観的に予測する必要性があります。 この共通通貨の特徴としては大きく2つあり、その一つは金や資源等に裏打ちされた金本位制通貨とも言える通貨形態になっている点です。 一方のドルは米国という国家が支えている通貨で、その裏付けは具体的には存在せず、米国という国の信用力に依存しています。 先ず、この点で比べて見ると、金本位制通貨には世界共通の価値が認められていますから、貨幣の信用力としてはドルに比べると圧倒的に高いと考えられます。 特に最近は米国経済の不振と利上げ等によってドルの価値が大きく動いていて不安定になっていますから、金本位制通貨に比べ信用力と安定性は劣後しています。 仮に支払われる給料等がどちらかの通貨を選べるとしたら、金本位制通貨を支持する人の方が多いと思われます。 日本もかつて金本位制通貨が発行された時代がありますが、この時金と交換できる 兌換紙幣と具体的な裏付けのない不換紙幣の二択だったとしたら、同じ1円札であれば普通は兌換紙幣を要求したと考えられます。 換言すれば、ドルという不換紙幣は米国を信用して下さいという事だけですから、米国への愛国心溢れている人以外は兌換紙幣を支持するのは自然の流れです。 もう一つの特徴は、世界の原油取引に使われるマネーがドルからBRICS共通通貨に変わる可能性が高いという点です。 従来は、OPEC議長国のサウジアラビアと米国で、原油取引にはドルを使うという取り決めがあり、これによって世界の原油取引はドルで決済することになっていました。 それがサウジアラビアを始めとした原油算出国が軒並みBRICSへの加盟申請をしていますので、今後は世界の原油取引の約90%を占めているOPEC+(ロシア)がBRICS共通通貨にシフトすると予想されます。 原油取引がドルで行われていた事によって、米国は無制限にドルを発行することが出来た訳ですから、その仕組みが変わってしまえば、ドルの流通量は大きく減少し信用力も低下します。 今までの歴史をみると、英国ポンドから米国ドルへの世界の通貨覇権の交代は一定の時間を掛けて穏やかに移っていきましたが、それは同じ仕組みの通貨だったという点に留意する必要があります。 今回は兌換紙幣と不換紙幣という明確な差異を持った通貨でのことですが、更に為替という富の移動手段から新興国が逃れられるという側面もあります。 ドルを1として他国の通貨はその10分の1や100分の1にされていて、この為替操作によって富が収奪されていましたが、BRICS共通通貨が加盟国通貨と合理的な固定レートになれば、富の収奪が行われないようになりますから、この恩恵も大きいのです。 これらを考慮すると、過去のように一定の時間を掛けての移行ではないかもしれず、短期間に劇的に変化する可能性があります。 これが私の見通しですが、恐らく今後は色々な予測や現象の説明が数多く流布すると思います。 客観的に見ればBRICS共通通貨は世界を大きく変えてしまう可能性がありますが、そうさせまいという反対勢力がマスメディアを使ってプロパガンダを行うと考えられますから、正しい情報が伝わらないかも知れません。 従ってマスメディアやSNSの情報を鵜呑みにするのではなく、自分自身の考察によって今後の動きを見る必要がありますが、結果として人によって見方が変わりますから、それが見えている世界の違いにもなるのだと思います。 |
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