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2023. 6.16.Up Dated.
ケネディクス系投資法人の合併について

 6/13に、ケネディクスがスポンサーとなっている3つの投資法人が11月1日付で合併すると発表されました。 存続投資法人は、ケネディクスが最初に設立したケネディクス・オフィス投資法人となり、ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人とケネディクス商業リート投資法人を吸収合併します。
元々ケネディクスは3つの投資法人の資産運用会社を1社に集約していましたから、タイミングが来れば投資法人の合併も視野に入っていたのだと思います。
スポンサーのケネディクスはファンド運営会社ですから、この会社規模で3つの投資法人の上場を維持するのは難しいという面も持ち合わせしていました。3銘柄のままだと資産運用体制にも無駄が出ますから合併は自然の流れだと言えますが、今の厳しい融資環境も影響しているのではないかと考えられます。
金融機関にとって、投資法人の与信はスポンサーを含めての与信になりますから、今の融資環境では3つの投資法人に個別に融資するのは渋ると思います。スポンサーのケネディクスも資金調達には苦労していると思われますから、この際整理統合して融資を得られるような体制に変更したというのが本音ではないかと考えられます。
またREIT市場が好調であれば、敢えて合併という手法を使いませんが、現在のREIT 市場は良くも悪くもないという相場になっていて、今後も大きく好転する見込みがなさそうという見通しもあったのだと思います。
合併によって、KDX不動産投資法人と名称変更し、資産規模は1.15兆円と一躍REIT3番目の規模になりますから、1兆円を超える投資法人は今後の存続可能性が飛躍的に上昇すると考えたと思います。
所謂「大き過ぎて潰せない」という事なのでしょうが、恐らくこれは見込み違いだと思います。
仮にREITに危機が訪れた時には従来の常識は通用しませんから、これについては甘い期待だと言えます。
それでも何も対応せずに存続危機を迎えるよりはましでしょうから、出来る対応を決断したのだと思います。
私の所感ですが、合併してもケネディクスの存続可能性は高まらないと思います。これからの投資法人の評価は大きさではなく質ですから、何れは小が大を飲み込むようなことも起こるかもしれません。
ケネディクスはそのような感覚は持っていないと思いますが、今までの軌跡を振り返れば存続可能か否かは自ずと分かるのではないかと思います。


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