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2022.11.25.Up Dated.
国債市場は売り優勢

 REIT市場に最も影響を与える国債市場が売りを強めているようです。
米国債は主要な買い手である日本と中国が売りに回っていますので、流動性が悪化していますし、英国債や欧州国債も売りが強まっています。特に英国と欧州はインフレが加速していて、国内に混乱が広がりつつありますから、投資家心理が冷えていて、国債売りに傾いています。
日本国債も海外投資家が大幅売り越しになっていますから同様の傾向にあると言えますが、日本の場合は国内での消化率が高く、更に売りを日銀が吸収しているようなので、利回りの上昇は抑えられていますが、売り優勢には変わりがないようです。
このように西側諸国の国債が売られているのは、投資家が地政学リスクに敏感になっている為だと考えられますが、従来はリスクフリーであった国債にカントリーリスクが意識されるようになっています。換言すれば国債に元本リスクが生じるようになった為だと考えられます。
機関投資家が元本リスクを強く意識するようになった訳ですから、REITの見方も同じように利回りより元本リスクを考慮するようになっていると考えられます。
REITの元本は保有不動産によって裏打ちされていますから、元本リスクとは不動産価格の下落又は換金の困難性になると言えます。
日本の不動産は上昇基調ではなく、賃料の弱含みによって下落方向へ向いていることは確かですが、元々欧米や中国のような不動産バブルにはなっていませんでしたから、若干の調整はあるでしょうが、暴落というレベルにはなりそうもありません。
金利上昇は住宅ローン金利を上昇させますから、欧米のように金利が急激に上昇するような局面では不動産需要を冷え込ませますので、負のスパイラルに入ってしまう可能性があります。
米国では景気の指標となる中古車市場が急激に冷え込んでいて、既にリーマンショック時を下回る状態になっているようですから、経済状況は明らかに悪化していると見られます。
それにガソリン価格も高騰していて、欧州は前年同月比で40%超の値上がりになっていますし、米国もガソリン価格の急騰が国民の生活を圧迫しているようです。
これらの情報は散発的に出てきていて、経済情報としてトータルに語られている訳ではありませんから、実体経済の状況を把握するのは簡単ではありません。
日本もガソリン価格は上昇していますが、欧米に比べれば穏やかなので、徐々に生活を圧迫しつつあるというレベルですが、欧米はエネルギー価格の急騰によって、この冬に危険な状況陥る可能性もあるというレベルになっています。
もう少し様子を見なくては確たることは分かりませんが、この冬は欧米はかなり深刻な事態になる可能性も考慮しておく必要がありそうです。


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