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2022.10.14.Up Dated.
投資市場の出口は?

 昨日、米国の9月の消費者物価指数(CPI)が発表されました。

9月の消費者物価指数 8.2%高(前年同月比、事前予想値8.1%)
同 コア指数        6.2%(同事前予想値 6.1%)
※コア指数=値動きの大きいエネルギーと生鮮食料品価格を除いた物価の動き

この内容をみると、何れも事前予想を0.1%上回っていて、依然としてインフレは続いているという事になります。これを受けて昨日のNYダウは約900ドル上昇し、3万ドル台を回復しました。
予想よりもインフレ率が高くなって株価が上昇するのは解せませんが、昨日のNY ダウの値動きは一本調子で上がっていますから、何かの手が入っていると思わせるような値動きをしています。
なお予めお断りしますが、これらの情報によってその背後にあるシナリオを考察することが本稿の目的で、情報の真否を確認する事ではありません。
この情報は米国のインフレが加速しているという事を表していて、特にコア指数の上昇はサービスの価格の上昇、即ち賃金上昇を表しているので、下方硬直性が高く、容易には下がらないと考えられます。
これにより米国FRBは利上げを止める訳にはいかず、恐らく11月・12月も0.75%の利上げを実施せざるを得ないと思いますから、そこにはリセッションを伴うスタグフレーションが待っていると言えます。
更に米国の利上げ基調が続けば、ドル独歩高が加速し、他の通貨安が続き、それらの国の国債価格が更に下がることになりますから、英国債やイタリア国債等の下落は止まりません。勿論円安やポンド安も続きますので世界経済は大きな打撃を受けます。
結局は、2大投資市場の一つである債券市場に価格下落のリスクが高まり、債券投資そのものが成り立ち難くなります。
通常は先行き不透明感が高まると投資マネーは債券市場に流れるのですが、この状況では債券に資金を動かすことが難しくなります。従って株式市場に留まるしかありませんが、前述の通り株式市場の動きには不審な面が出ていますから、こちらもリスクが大きいと思わざるを得ません。これでは投資を止めることが出来ない機関投資家は立往生になってしまいます。
一方、個人は全ての投資を止めて資金を引き揚げれば済むことですが、何時までも留まっていると損を個人に付け替えるという事にもなり兼ねません。

さて以上の説明から一体何が起こっているのかの考察になりますが、通常は株安になる局面で逆に上がるというのは不自然ですから、意図的な操作が疑われます。
私は以前から東証REIT指数の動きに対して意図的な操作を疑っていましたが、日本のREIT市場だけの動きではなかったという仮説も成り立つのです。
日本の株式市場も昨日のNYダウの上昇を受けて上昇していますが、今週末は日本のSQ(デリバティブ商品の決済日)という事もあっての上昇かも知れません。
即ち急激に金融市場が崩れるのを防止するための措置とも考えられなくはありませんが、来週末にSQを迎える米国の株式市場がどうなるのかも注目です。
ここまで考察すると、誰かが一定のシナリオを基に投資市場を動かしていると考えるのは自然な流れかもしれません。
「早く気付いて行動を変えなさい」と言うサインとも捉えられますが、トレーダーや機関投資家は個人のように資金を引き揚げることが出来ませんから、対処方法は一つしかありません。それは職を辞して自らが離れることでこのおかしな状況から逃れることです。何時までも留まっていると、市場が崩壊した時の責任追及の手が伸びてきますから、既に遅きに失しているものの、決断するしかありません。
個人は自分だけの裁量で行動を決められる訳ですから<何をか言わんや>です。

今回は多くの人が心の底に持っている投資市場の不信感について解説しましたが、この状況は既に2年前から予測されていた事でもありますから、個々人がどのように考え行動するかが試される試験問題のようなものなのかも知れません。


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