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2022.10. 7.Up Dated.
債券相場の変調

 債券市場の指標の一つのCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)が上昇しています。これは世界の債券(国債・社債)の破綻リスクが高まっていることを表しています。
日本国債は日銀のイールドカーブ・コントロール政策によって0.25%が上限にはなっていますが、同様にCDSが上昇しています。
CDSの上昇は今年3月から上昇基調になり、9月末に最も高くなり、10月に入ってやや戻しているものの、高止まり傾向は変わりません。米国債の利回り上昇(債券価格は下落)や英国債の急落等をみれば何となくでも分かる人は多いと思いますが、実は2008年のリーマンショック時に比べればそれ程高い訳ではありませんので、未だ余裕があるとの見方もあります。
但し、この債券市場の変調に対して警鐘を鳴らす論調も増えていて、極端な見方では金融市場の崩壊も示唆されています。
リーマンショック時に比べれば深刻度が少ないのに、金融市場の崩壊まで予想するのは行き過ぎとも言えますが、この見方にはそれなりの根拠があります。 過去の出来事は、一部の勢力が意図的に引き起こし、これによって巨額の利益を得たとも考えられていますから、シナリオのあった時と比べるのは妥当ではないという見方です。
今は、一部の勢力によって意図的に引き起こされている状態ではなく、所謂自由落下になっていると考えれば、今後は危険度が増大する一方と考えているとも言えます。
確かに債券市場も株式市場も一挙に下落している訳ではなく、行きつ戻りつで下落している状態ですから、これは自然な動きだとも捉えることが出来ます。
逆に、一挙に急落していくのは誰かが仕掛けた結果だとも言えますから、今日のような状況が自然の流れだと考えることも出来ます。
世界各国はエネルギー価格や食料品価格の高騰によるインフレ対策として金利引上げを行っていますが、景気が過熱している訳ではないので、スタグフレーション(景気後退下のインフレ)だとみると、金利の急激な上昇は、より景気を冷え込ませます。
日本のインフレは欧米諸国に比べると穏やかなので実感が湧きませんが、欧米のインフレは家計を直撃しています。 この状態での金利引上げは負債を増やしますから、消費マインドは更に低下しますので、スパイラル的に景気を悪化させることにも繋がります。
冷静に考えれば、金利引上げでエネルギー価格も食料品価格も下がるとは思えませんので、欧米の政策は合理的ではありません。
仮に日本が今の状態で日銀が金利を急激に引き上げれば、非難轟々になると思いますので、普通に考えても欧米の金利政策は不合理なのです。
不合理な事は追及して実態を把握する必要がありますが、今は深掘りする人は稀です。 その為に、現象の解説と過去のデータとの比較に終始していますので、物足りないと感じている人も居ると思いますが、追及すればする程危険に近づきますから、そこまで踏み込みたくないと考える人が多いと思います。
結局は自分の頭で考えるしかないのですが、マスコミや専門家と称する人達の言説を鵜呑みにしていた人にとっては迷うしかないのかも知れません。


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