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2022. 9. 9.Up Dated.
情報の大洪水時代

 私の仕事の関係上、REITに関する情報だけでなく理解に必要な関連情報も収集していますが、最近は特に情報の大洪水時代だなと感じています。
従来のマスメディアだけに頼っていれば、それ程感じないと思いますが、ネットで検索すれば大量の情報が出てきます。これらの情報の真偽を確認するのは難しく、それぞれのポジションで発信されていますから、どれを選択すべきかの判断も困難です。
人によっては迷いだけが生じて情報遮断をしてしまう事もあると思いますが、私のような仕事をしているとそうもいかず、情報の大洪水の中を泳ぐしかありません。発信される情報が真偽の二択であれば良いのですが、Aという意見とBという意見があって、更にそれらが枝分かれして多数の見方が存在しています。見方によってはノア大洪水時代と同じと見ることも出来るかもしれません。私達は情報の大洪水の中に投げ出されてもがいているとも言えます。
真偽を判別する方法があれば良いのですが、そう簡単ではなく、比較的使える判別方法は情報発信の背景に発信者の利益追求があるかという点が使えそうです。自分の利益からの情報発信なのか、他人の利益となるようにとの発信なのかは一つの判別法ですが、これも絶対とは言えません。
全く利益を生まなければ、情報発信するインセンティブがありませんから、結局は程度問題なので、度が過ぎているか否かという事になります。最悪なのは発信者の肩書や出身団体等を斟酌することですが、これらは外見でしかありませんから、本来は発信者本人の人柄を見極めるしかないと思います。

話をREITに戻しますと、幸か不幸かREIT情報については限られた発信者しか居ませんから、比較的判別し易いのではと思っています。勿論個人的感覚での発信もありますが、継続的に仕事としている発信者は知る限りは私を含めて2~3名程度だと思いますから、REIT情報の選別は比較的容易なのかなとも思います。
それでも私の発信する情報は他とはかなり異なっていますから、少ない情報源では検証が難しいだろうと感じています。これについて私が有効な判別方法を提示することが出来ませんが、一つ言えることは私の情報発信は自分の利益とは直接関係のない事なので、単に私の見方と解釈を提示しているだけと捉えて欲しいと思っています。その上で発信情報を参考とするか否かをそれぞれの方で判断してもらう事になります。
私はREIT創設以来約20年以上に亙ってREIT情報の発信を続けていますが、初期の頃に何度かその目的について触れていますが、私はREITを健全な投資商品として根付かせたいと思って続けています。
そしてその目的は、かつての不動産バブルのような狂乱の時代を起こさないこと、そして不動産バブル崩壊によって多くの人が深刻な被害を受けた歴史を繰り返さないことです。REITには不動産価格の調節機能があるという考えで、REITを大きく出来れば、バブルを防げるだろうと考えたからです。
この目的が達成出来たのかというと、勿論100満点ではありませんが、60点以上の成績は取れたのかなとも思っています。バブルは弾けた後が大変で、多くの悲しい被害を生むのを目の当たりにしましたから、二度とそういう悲しい現実は避けたいと思ったからです。
私自身は仕事として多くの不動産を扱いましたが、個人として不動産取引を行ったことはありませんから、不動産バブルの影響は軽微でしたが、バブル崩壊後は再生案について色々と悩み試行錯誤を繰り返しました。どのような方法を考えても再生は難しかったと覚えていますから、結局はバブルを起こさないようにすることが一番だと思ったからです。
私がREITに執着したのはこの思いからですので、REITに関しても常に厳しい見方を続けています。
REIT相場についても保守的で慎重な立場を堅持していますが、これもバブルを避ける為だと言えます。
投資はゼロサムゲームだと言われますが、REITのようなインカムゲイン商品はゼロサムにはならず、小さなWin-Winを続けることが可能だと思っています。
現在のREITは難しい問題を抱えてしまっていますが、困難を乗り越えられれば新しい未来もありますから、暫くはそれを見据えて活動していこうと考えています。


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