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2022. 9. 2.Up Dated.
日本ロジステック株式会社の倒産

 日本ロジステック株式会社(資本金4.8億円)という物流業者が、8/30に突然民事再生法の申請を行い事実上倒産しました。
この影響で、REITでもラーサル・ロジポート投資法人、CREロジスティックフアンド投資法人の保有物件の一部が保全命令を受けました。また増資を発表していた大和ハウスリート投資法人が、9/1に急遽増資を中止することになり、REITへの影響も大きくなっています。
現時点では、上記3投資法人からの発表だけで、他の投資法人からは特に何の発表もありませんが、物流業界ではかなり名の知れた急成長企業でしたから、他にも間接的な影響はあるのかも知れません。
日本ロジステックの2022年3月期決算は、売上約405億円、当期利益約27億円と発表されていて、かなり好調な業績でした。
因みに、日本ロジステックは旧日本ロジステックが1959年に設立されており、現日本ロジステックが2017年に業務を引き継いでいますから、物流業界では老舗企業の一つです。
負債総額は子会社分と合わせて当初80.3億円と発表されましたが、直近の帝国データバンク(TDB)のリサーチでは負債総額は約151億円と増加しています。
何れにしろ直近決算では利益を出していて、所謂黒字倒産ですので、資金繰りによる倒産だと考えられます。
不正取引が発覚したという情報もありますが、理由はどうあれ金融機関からの融資が得られなくなったことが原因だと考えられます。
好調な決算をしていながら、金融機関が融資しなくなったことでの倒産だと考えられますから、金融環境がタイトになっているのか、又は融資先の審査がかなり厳格化されているのかも知れません。
以前にもこのコラムで金融環境の変化に言及していましたが、急成長企業にも及んでいますから、今後の影響も懸念されます。
TDBによると、この8月に外部への不正支払いが発覚したことが、倒産の引き金になったとされています。
外部への不正支払いと聞くと、反社への支払いが思い浮かびますが、そんな単純な事でもないのかも知れません。
兎に角何らかの不正が発覚すれば、融資ストップになり、いきなり資金繰り倒産に追い込まれるという例ですので、多くの企業にとって警告になっています。
勿論REITも例外ではありませんから、万一不正行為があったり不正に加担していたりすれば同様のリスクがありますから、完全クリーンであることを願っていますが、現実はそんなに甘くはないのかも知れません。

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