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2022. 6.10.Up Dated.
円安について

 1ドル134円台にまで円安が進行していて、何れは140円にも届きそうな為替相場になっています。
尤もこれを殊更に深刻に考える必要もなさそうです。
既に明確になっているように、ロシアルーブルは国際資本市場から離脱していて、対ドルに連動しておらず、恐らく固定相場になっていると考えられますから、国際為替市場は従来の機能を持っていないようです。
元々為替市場は一部の人間が利益を貪る為の仕組みであり、自由に操作して莫大な富を得ていた投資市場ですが、この仕組みの根底には変動相場制があります。
1973年以前は、各国の通貨はドルを基軸とした固定相場になっていましたから、この時点では為替市場は両替機能しかありませんでした。
円は戦後から360円/1ドルに固定されていて、現在の水準とは比べられない程の円安でしたが、固定相場なので弊害は高い輸入価格と海外旅行の難しさぐらいです。
今考えれば、石油・天然ガス等のエネルギーを輸入に依存していた状態では、360円/1ドルでは大変だと思うでしょうが、私の子供の頃のエネルギー資源は石炭・薪・炭でした。
今のように便利ではありませんが、エネルギー資源は国内にあり輸入に頼る状態ではありませんから、日常生活に問題はありませんでした。小学校には薪か石炭ストーブがあって、当番の子供が火を起こしていましたから、誰でも火おこしが出来た時代です。
別に昔に戻れと言っている訳ではなく、経済の仕組みから考えてみる必要があると思うのです。

話を戻すと、134円台の円というのが何処まで信用出来るのか疑問なのです。
現在海外サイトで価格を調べると必ずしも134円/1ドルではありませんし、日本で売られている製品は110円/1ドル程度で計算されているようです。
物の値段は取引によって決まりますので、誰が価値を決めるものでもありませんから、為替レートが何処まで通用するのかという問題があります。
結論を言うと、為替レートは誰かが決めたものであり、実際はこのレートでは動いていない物も数多くあります。
このレートを守っているのは投資市場だけだろうと思いますから、円安は投資市場だけに限定的に働いているのではないかと思います。
視点を上げて俯瞰すると、投資市場のみが為替レートに連動して損益を出す仕組みになっていて、コンシューマー市場では違う仕組みが働いています。
もしかしたら投資市場が特殊な市場なのかもしれませんし、見方を換えれば、最も操作されやすい市場だとも考えられます。
今の時代、視野を広げて時には俯瞰で見ることも必要なのだと思います。


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