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2022. 5.20.Up Dated.
国民所得から考える日本の課題

 日本の勤労者一人当たりの年間所得の中央値は350万円程度になっていますが、この水準は不動産バブル(1990年前後)前の水準をかなり下回っています。
日本のGDPを勤労者の数で割ると、平均値は720万円程度になりますから、720万円-350万円=370万円の差額は何処に行っているでしょうか。
一部の富裕層に回っているという見方も出来ますが、政府が税金や社会保険料の名目で徴収して好き勝手に使っているのが実態だと思います。
コロナ対策予備費の使途不明金もそうですか、税金の個々の使途は国民には分からないようになっていますから、何処に誰に税金を財源とする資金が渡っているのかはトレースが難しいのです。
簡単に言えば、日本は勤労者の稼いだ分の半分以上が自分以外の他の所に回っているのが実態です。
これは金の額の問題と言うよりは、富の分配が不透明且つ不公平に行われているというシステムの問題となります。
政治の機能は富の分配だと定義されていますから、日本の政治はまともに機能していない状態だと言えます。
では何故こうなっているのかは簡単です。 政治家がまともな人間ではないからに他なりません。
政治家がまともでないのは世間では常識だとも言えますが、思った以上に酷いのが実態だと思います。
日本は民主主義だと言われて80年近く経ち、数多くの選挙を行っても政治家のレベルが向上するとこはなく、逆に低下しているのは米国のように選挙制度に問題があるのか、間接民主主義と言われている形に根本的な問題があるのかも知れません。
恐らく根本的な原因は後者だと思いますが、民主主義を理想の社会システムのように洗脳されている人は分からないだろうと思います。
比較政治学の分野では様々な政治システムの特徴を考えますが、当然ながら間接民主主義と呼ばれているシステムが最上だとは考えられていません。
何が最上とは一概に言えず、それぞれに長所・欠点がありますが、システムの根本は人だからです。
人には長所・欠点がありますが、その事を自覚しながらバランスを取っていくことが必要ですが、偏れば色々な問題を周囲に及ぼします。
即ち、日本と世界が抱えている問題は人間だと言えます。バランスが偏った人間が権力や富を持つことによって生じているのが現在の状態だと言えますが、これを許容しているのは私達自身なのです。
人物を判別する時に肩書や地位を優先して考慮しますが、これを止めて人物本位で見定めればそれ程間違えません。
仮に、首相が平均以下の人物と判別すれば、彼のいう事は聞きませんし従いませんので、このような人が増えてしまえば、今の政治家にとっては大変不都合です。
彼らの資質のせいで政治が機能しなくなりますから、機能させる力量のある人に交替せざるを得ません。
このように、より多くの人が肩書や地位に囚われず、人物本位で見定めるようになれば世の中は確実に変わっていきます。勿論それでは困るという既得権者は抵抗しますが、個々人の頭の中までは制御できませんから、人間を人物本位で見るという人が増えることで社会は変わっていくと言えます。


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