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2022. 3.18.Up Dated.
三菱商事・ユービーエス・リアルティの件

 日本都市ファンド投資法人(略称;JMF)と産業ファンド投資法人(略称;IIF)の資産運用会社である三菱商事・ユービーエス・リアルティ㈱の保有株式をKKR(米国の投資ファンド)の子会社に譲渡するという発表がありました。譲渡は4月28日までに行われることになっており、正に寝耳に水という感じです。
日本都市ファンドは、(旧)日本リテールファンド投資法人として2002年3月にREITの3番目に上場された老舗の投資法人です。上場から20年も経ってからの売却であり、同系列の産業ファンド投資法人との保有資産合計は約1.6兆円弱(取得価格)に達していますから、これだけの大量の不動産の支配権を譲渡することになります。
現時点でJMFの投資口価格は見做し額面価格比で155%、同じくIIFは287%に達していますから、不振という投資法人ではなく、差し当たっての不安材料はありません。
JMFの沿革をみると、2010年3月にリーマンショックで運用が苦しくなった(旧)ラサール・ジャパン投資法人を吸収合併しており、2021年3月にはMCUBS MidCity投資法人(上場時は松下電器産業系の投資法人)を吸収合併しています。

今回の売却発表の背景については色々な憶測が働くと思いますが、私はスポンサー企業側の問題だと見ています。前述のように投資法人には特に問題もありませんから、これらを売却する理由はスポンサーの事情と考えるのが自然です。
三菱商事(資産運用用会社の51%の株式を保有)は総合商社ですが、保有不動産は少なく目ぼしい物は丸の内に本社ビルしかありません。万一にも丸の内の本社ビルを売却することになれば、それは三菱グループの終焉を意味しますから、最後の手段だと言えます。そこに至る前に換金できるのは傘下のREITしかありませんので、売り食い対象としてREITが選ばれたと考えられます。
一方のUBS(資産運用用会社の49%の株式を保有)は、スイスの国際的メガバンクですが、こちらも金融システムの大きな変化によって消滅の危機を迎えているとも囁かれています。
即ち、三菱商事もUBSも存続の危機を迎えているのではないかというのが私の推測です。 「そんな馬鹿な」と思う人も居られるでしょうが、今回の事は突然の発表ではあるものの、以前から指摘してきたように、世の中が大きく変わっている事に因るものと考えています。
今後の問題は今回の事によるREITへの影響ですが、三菱商事が撤退したことで同じ総合商社系の投資法人にも波及するかも知れません。
総合商社は資産の売り食い余地は小さいですから、傘下のREITにそれなりの価値があるとすれば、同様の行動に出ることも考えられます。大企業がそんなに余裕がないのかと思うかも知れませんが、融資環境がタイトになれば大企業も持ちません。
私の理解では、今は大企業のような多額の資金ニーズに応えられる金融環境ではないという事です。
果たして今回の事でREITに激震が走るかは分かりませんが、直近のREIT相場は1,900ポイント台になっていて、数字的には好調ですから、好調なREITに何が起こっているのかという見方が出来ます。
情報が命で身代わりの素早さが信条の総合商社の動きですから、今回の事を軽く見ることは出来ませんので、引き続きREIT業界の動きを注視する必要がありそうです。


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