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2022. 1.28.Up Dated.
相場の動きが不可解

 REIT市場のみならず、株式市場も相場調整に入っていますので、その動きに注目していますが、相場の出来方が良く分かりません。例えば、日経平均株価を見ていると、相場が下がる時は出来高が増えていて、相場が上がる時は逆に増えていません。出来高が増えて相場が下がるのは、売りが多いという事なのでしょうが、出来高が増えずに相場が上がるのが分かりません。前日比で相場が上がるには、下がった時と同程度の売買高があれば分かりますが、下がった時よりも少ない売買高で上がるのはどういう事なのでしょうか。
この傾向はREIT市場の取引も同じなので、REITの取引で考察すると次のように考えられなくもありません。
売買高が増えて相場が下がるのは、売り主体の取引が入ってきた為だとも考えられます。 そして売買高が増えずに相場が上がるのは、売りが一巡して、いつもの取引主体だけの取引になった為という解釈が出来ます。
REITの場合、いつもの取引主体は明確です。 シェアが合計で70%超となっている外国法人と証券会社(委託取引ではなく自己取引)だと考えられますので、前述の売り主体は金融機関・投資信託・国内個人の3者(取引シェアは3者合計で25%前後)だと思われます。
このように見ると、売買高の変化は説明が付きますが、外国法人と証券会社(自己取引)が同じ動きをするのが不思議です。
基本的に外国法人は独自の判断で動いているはずですし、日本の証券会社の情報は信用していないのが常識化していますから、両者が揃って動いて相場を戻すというのは解せません。
このように相場の動きは不可解な点が見られますが、これ以上詮索しても実態には迫れませんが、ある程度分かるのは、金融機関・投資信託・国内個人の3者の売りで相場が下がっているのではないかという事です。

この前提で今後の相場の動きを予測すると、3者の売りが何処までの期間続くか、そしてどの程度の売りがあるのかによって相場の下がる水準が予測できます。中でも金融機関は年度末にかけて益出しの売りが増えそうですから、3月末までは売りがあると思われます。
次に売り高がどの程度のなるのかですが、金融機関の保有投資口シェアは約56%でトップなので、この中のどの程度を売るかによって相場は影響を受けます。
国内個人も売り越し常連主体で保有投資口シェアは約8%程度ですが、信用取引によって取引高を増やすので、国内個人の売りの期間が何処まで続くのかが問題となります。更に相場が大きく下がった時は大幅買い越しに転じる主体ですから、相場が底を打ったとなれば買いに回りますので、この主体の取引も相場への影響は大きくなります。
投資信託は売ってしまえばその後の配当金が減少しますから、売れば何れ買い戻すので、影響は一時的でしかないと考えられます。
結局は、金融機関と国内個人の投資態様によって相場は決まるのではないかと考えれますが、金融機関の今期決算はかなり厳しくなるのでは予想されていますから、売りが大きくなる可能性も否定できません。国内個人は相場の底が分からなければ買いには回りませんので、今の情勢では相場の底の見当が付きませんから、恐らく大幅買い越しに転じるタイミングはないかもしれません。
こう考えると、相場の動きは通常取引主体の外国法人と証券会社が何処まで戻せるか、支えられかによって決まります。特に証券会社が問題ですが、証券会社も経営内容は厳しくなっていますから何時まで突っ張れるかも分かりません。
このように考察すると相場は不透明感が増しているという事になります。換言すると、相場の潮目は変わったとも言えますから、この先どんな状態になるのかは誰にも分からないという事なのかもしれません。


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