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2021.12. 3.Up Dated.
大和缶

 大和缶(やまとかん)とは誰かが勝手に付けた名称ですが、所謂電磁波吸収装置の一種です。
私達の身の回りには電磁波が飛び交っていて、電気のスイッチを入れればスイッチング電流によって電磁波が発生しますし、テレビやスマホも電磁波を出しています。
100Vの家庭電気からも電磁波は発生していますから、身の回り全てが電磁波に包まれているとも言えます。
この電磁波が全て害なのかは分かりませんが、私達の体も振動体ですから影響はありそうです。
そんなことから身の回りの電磁波を少なくしようという事で、大和缶の作成が流行っているようです。
これを部屋の四隅に置くだけで眠りの質が良くなるとか気分がすっきりするとか言われ、簡単で安い費用で作れる大和缶が静かなブームになっているようです。
作る材料は、水晶(小粒の物であれば500gで1,200円程度)と銅線(エナメル線であれば10mで120円程度)、そして空き缶があれば良いのです。空き缶の中に水晶を入れて、缶の周囲を銅線で巻けば出来上がりです。水晶500gで6~8ケは作れますから誰でも作れると思います。

こんなので効果があるのかと思う人も居られるかと思いますが、オーディオの世界では電磁波の問題は古くから議論されていて、電磁波による音への影響は確実です。
オーディオ機器や家庭電化製品から発生する電磁波に対しては、フェライトコアで電線を挟んだり、電磁波吸収材(所謂ステルス効果のある塗料を塗ったシート)を貼ったりします。 マッチ箱のマッチを擦る所に貼られている塗料にも電磁波吸収効果があるので、これを塗布したテーブルタップのような電源ボックスも市販されています。
そして水晶ですが、これは単体でかなり電磁波を吸収することで知られていますが、使い方が難しく、量によっては音が痩せてしまいます。
電磁波吸収は加減が難しく、やり過ぎると音の鮮度が低下しますから、オーディオの世界ではあまり普及はしていません。
大和缶は、このようなオーディオの知識とも関係していて、水晶を芯材にして周囲を導電体で囲み、更に伝導率の高い銅線でトランスのように巻くというだけです。
原理的には高い伝導率の持った銅線が電磁波を引き寄せ、それを水晶が吸収するという事だと考えられます。
これはトランスの構造とも似ていて、トランスは芯材(鉄)の周囲をコイル状の銅線で巻いて、この巻き数によって変圧するというものですが、トランスは電気を通さないと動作しませんが、電磁波吸収材は単体で作用します。
このように原理的には間違っていませんが、大和缶がどの範囲の周波数を吸収しているのかは分かりませんが、オーディオマニアが実験したこところ、大量過ぎると音が痩せるが 電磁波を多く発生する所であれば効果的という結果になったようですから、かなり広い範囲の周波数を吸収していると考えられます。
まあ、部屋の四隅に1ケ置く程度でよいのだろうと思いますので、無害なので試してみても面白そうです。


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