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2021. 7.30.Up Dated.
量子コンピューター稼働

 7/27に川崎市の新産業創造センターに設置されていたIBM製の量子コンピューターの稼働が始まりました。量子コンピューターの実用化は10年以上先と言われていましたので、突然の稼働だとも言えなくもありません。
性能的には色々と言われていますが、日本が誇るスーパーコンピューターの富岳に比べても圧倒的な性能を示すとされていますが、実は本当の性能については良くわかっていません。
AIのような学習機能では、従来のコンピューターの方が優れているという意見もあり、何が凄いのかは明確になっていません。
今までのパソコンのCPUの動作速度は既に5.0GHZを超えていて、この速度でも体感的には十分に速いです。
パソコンの性能は、他にもキャシュメモリーへのアクセス速度やメモリー容量が関係しますが、既に満足できるレベルまでに引き上げられていますから、何が変わったのかを説明されていません。
ハッキングなどに対するセキュリティーが優れているという事は以前から言われていますが、これだけが量子コンピューターの特徴ではないようです。
私も色々と調べてみましたが、分からない点がいくつかあります。

① 性能アップに比例して発熱が凄く液体窒素を使った極冷が必要になりそうなので、本当に実用的なのか。
→液体窒素を使った極冷方式は一部のマニアでは行われていますが、常に液体窒素の補充が必要になり通常使用には適さない。

② 動作速度が従来のパソコンに比べて圧倒的に速くなるという原理が分からない。
→光の速度で動作するとしても、圧倒的な差は出ない。

③ 記憶装置(SSD等)への転送速度がボトルネックになるのでは。
→例えCPUの性能が高くても情報を保存しておく記憶媒体への転送速度や、読み出し速度に限度がある。

このように従来の知識では、何が凄いのかが分かりませんので、少し飛躍して考えてみます。

「量子コンピューターの発熱対策」
液体窒素を使うのではなく、絶対零度に近い宇宙空間に設置されているのではないかとも言われていて、川崎に設置された量子コンピューターは端末装置ではないかとも考えられる。
古い世代の人なら覚えていると思いますが、パソコン以前はメインフレームと呼ばれた大型コンピューターが空調設備のある部屋に設置されていて、これから情報を呼び出して使う端末(IBM製)が専用電話回線で繋がっていた時代がありました。
量子コンピューターはこれと似たようなシステムになっているのではと考えられます。

「動作速度について」
光の速度で動いたとしても、現在のパソコンを大きく超える性能を示すことはなさそうなので、別の原理が使われていると考えられる。
一つの説としては、量子が次元間を移動するのではないかとも考えられますが、次元という概念は量子力学では使われていますが、次元間を移動する手段は分かっていません。

以上のように量子コンピューターについては一般には分からないことが多く、私のような者でなく、専門家であっても上手く説明できないのが実状です。
即ち、量子コンピューターの稼働とは、従来の考え方を超えている事になりますし、とんでもない技術革新があるのかも知れません。
今回はやや専門的な話になりましたが、本筋としては、従来とは異なった時代が近づいているという理解が必要になってくるのではと思っています。


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