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2021. 5.28.Up Dated.
東海道リート投資法人の上場

 東海道リート投資法人が6/22に東証REIT市場へ上場予定と発表されました。
法人名称から分かるように投資対象地域が東海道ということになっていますが、上場時の組成物件には、静岡県を中心として名古屋市・三重県と東海道の中部地域を主要投資地域としているようです。
仮条件は6/4に決まるようですが、私の予想ではかなり渋い内容になるのではと思っています。
見做し額面価格は10万円/口ですが、公募価格は10万円/口又は10万円以下になるのではと予想しています。その根拠としては、最近のREIT市場での東証REIT指数は2,000ポイント超にはなっていますが、今年に入ってからの金融機関・投資信託・個人の投資態様をみると、いずれも売り越し優勢で保守的な見方になっていることです。

投資法人の内容をみると、金融機関などの機関投資家へのアピール力が弱いですから、機関投資家の応募状況は付き合い程度となる可能性があります。
従って、個人投資家をどれだけ取り込めるかが鍵になりますから、公募投資口の過半数は個人投資家に買ってもらうという目論見ではないかと思われます。
この予想が当たるとしたら、東海道リートの公募成否は個人投資家次第になり、個人が動かなければ最悪上場中止もあり得るかもしれません。
上場時の組成資産は8物件で303億円という規模で、REITとしては小さ過ぎますので、上場後の外部成長が必要になりますが、スポンサーの顔ぶれをみるとスピードは期待できません。
この辺りが機関投資家の見方を左右しそうですから、無理に買う必要はないという判断に傾くのではないかと考えています。

個人的な見方としては、この時期に敢えて上場してきた意図は何かと考えてしまいます。
昨年はコロナショックによって相場が大きく下がっていましたから、このタイミングでは上場は見送りなるのが普通です。
東海道リート投資法人は、今年1月に設立され、出資は2月になっています。この時期は相場が上向きになった頃ですが、当時の状況では東証REIT指数が2,000ポイントを超えるとは予想できる状態ではなかったはずです。
尤も証券会社にはそのような思惑があったのかもしれず、上場を決断するタイミングと考えていたかもしれません。
今回の上場を見ると、300億円程度の資産規模では弱小投資法人と見做されてしまいますから、タイミングを間違えれば上場不可能になりますので、穿った見方をすればこのタイミングしかなかったとも言えます。
これらは投資法人と証券会社の都合ですから、後は個人投資家がこれらの都合に合わせてくれるかが鍵となります。
私の率直な感想は、この投資法人は到底順調に成長していくとは思えませんし、資産内容にも見るべき点はありませんから、公募は見送り、上場後の様子を見て改めて投資判断を行うのが賢明ではないかと思っています。


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