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2021. 5. 7.Up Dated.
七人の敵あり

 諺に「男子敷居を跨げば七人の敵あり」という譬えがあります。私も子供の頃に親に言われた記憶があり、七人の敵とは誰なのかと考えたことがありますが、調べると敵が多いという意味のようです。
この諺でなくても、外へ出れば注意力を以て行動するのは当たり前ですから、若い頃から比較的身についていると思います。
REITの仕事をして20年経ちますが、その間も常に注意力を以て観察していますし、情報取得は欠かしていません。最近は注意力を高めていて、情報そのものの真偽についても安易には判断しないように努めています。
真偽に注意するのはメディア情報だけではなくネット情報も同じで、どの情報も鵜呑みにするのは避けています。勿論これは結構疲れることですし、即座に判断することも出来なくなりますから時間も掛かりますが、長年にわたって取得しているREIT情報であれば、過去との整合性によって判断出来ます。
一方、REIT以外の情報は真偽の判断が難しくなっています。 その為REITに大きな影響を与える経済環境・金融環境・投資環境などの情報は判定そのものが困難になっているとも言えます。
経済環境を考察するに際しても、1年以上に亙るコロナウィルス禍によって経済は確実に失速していると考えられますが、投資市場はそれを反映していません。
REITのデータを見ても、宿泊施設の稼働率は依然として赤字状態で低迷していますから、宿泊施設の収益低下は誰が見ても明らかです。
商業施設も都心型商業施設は賃料と稼働率の低下が目立っていますから、このセクターも苦戦していますし、安定していると考えられている賃貸住宅も以前のような高稼働率状態ではなく、過去の平均稼働率(95%前後)まで下がっています。
その他のセクターも収益上昇のデータはなく、横ばい乃至若干低下している状態ですから、これでREIT相場が上昇しているのは説明が付きません。
次に気になるのは金融環境ですが、実態が不透明です。みずほ銀行が外貨両替と外国送金を停止していますからこれも大きな問題ですが、明確な説明もない状態です。
このように注意力を以て情報を取得していると腑に落ちない事がいくつかありますので、自分が納得出来る説明が付くまでは保留にしています。
今は説明の付かない状態がREITを取り巻く環境で起こっていますから、セミナーを行う事が出来ません。但し、このような状態が長く続く事はなさそうで、破綻するものは遠からず明らかになるでしょうから、せいぜい今夏ぐらいまでではないかと考えています。


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