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2021. 4.16.Up Dated.
情報を整理してみました

 今回は、世界と日本の状勢を整理してみよう思います。
私が、最初に世界の状勢が大きく変化すると予測したのは英国のEU離脱が始まった2016年6月(英国の国民投票によってEUからの離脱が可決された)からです。同年11月にはトランプ氏が米国大統領に選出されたことで、変化が加速し、日本も賢い対応を採らないと世界情勢についていけなくなるとセミナーで話しました。実際はブレクジットは簡単に進まず、最終的に英国がEU から離脱したのは2020年1月と4年近くの期間を要しました。
一方、トランプ氏が2017年1月米国大統領に就任してからは、EU及び国連との関係の希薄化、米中対立とそれまでの世界の関係図を大きく塗り替える方向へ進みました。
この時の日本の首相は安倍晋三氏で、米国が離脱したTPPを米国抜きで成立させ、更にトランプ政権の意向を受けて日米豪印のクワッド体制を構築して中国と対立する姿勢を鮮明にしました。 2019年には米中対立が深刻化し、米国の対中関税発動によって中国経済は大きなダメージを受けました。また中国の不安定化によって尖閣諸島の領土権問題が日中間で再燃し、ロシアとの北方領土問題も頓挫しました。 北朝鮮による日本海へのミサイル発射問題や日本人拉致問題も大きく取り上げられるようになり、トランプ大統領も積極的に動くようになって、米朝会談も実施されました。
このように日本を取り巻く環境も大きく変化しましたが、米国とEUとの関係も冷えたことで、世界の勢力図は分断されることになりました。
ここで挙げた内容だけでも世界が大きく変化したことは分かりますが、これに追い打ちをかけたのが2020年1月からの新型コロナウィルス・パンデミックです。中国の武漢で発生した新型コロナウィルスが世界中に広がり、WHO(世界保健機構)の対応の拙さもあって多くの国でロックダウン(都市封鎖)が実施されました。
そして2020年11月の米国大統領選挙で不正選挙問題が発覚してから、米国内の分断が始まり、2021年1月には米国議事堂乱入事件も起こりました。

今日形の上ではバイデン氏が大統領に就任していますので、バイデン氏が大統領に就任してからは世界と日本はどのように変化したかを見てみます。
先ず、米国とEUとの関係は、今日まで首脳同士の直接会談は行われおらず以前と変わっていないと言えます。当初は国連との冷めた関係を修復するとは言っていましたが具体的な行動は取られていません。
米中関係は、バイデン氏が中国寄りと心配されていたものの、これもトランプ時代とは変わっておらず、対中関税も据え置かれていますし、政権交代による変化はありません。
日本も中国との尖閣問題は続いているものの、大きな緊張はなく小康状態になっているようです。(一部には危機を煽る報道や論調もあります)
ここまで見ると、トランプ氏が大統領に就任してからの4年間と比べると、バイデン氏は国際的には特に何もしていないように感じます。

次に最近の状勢をみると、世界的ニュースとしてはスエズ運河でのタンカー座礁事故、ロシア軍のウクライナへの圧力強化、EU各国の政治の不安定化等の欧州・中東での危険な兆候が出ています。
一方、中国に関するニュースは殆ど報じられずに、中国国内の状勢がどうなっているかは不明確ですが、どうやら習近平氏が江沢民派を駆逐して国内を掌握したように思われます。北朝鮮も以前に比べればおとなしくなっていて、国内問題で手一杯の感があります。 米国海軍の空母艦隊は世界で活発に動いているよう(米国の専用サイトで誰でも空母艦隊の活動状況は把握できます)ですが、政治は特段な動きはしていませんし、中国の後退とともにロシアの動きが活発化しているのが目立っています。
日本は、菅首相に代わってからは、国際政治的には変化は見られませんし、国内でもさしたる動きにはなっておらず、せいぜい2度目の緊急事態宣言を出したのと、世界の国で初めてのバイデン氏との日米会談に臨むという程度です。
コロナパンデミック対応でも、国によって異なっていて、欧州はロックダウン命令によって国民生活に大きな制限を掛けていますが、米国は州によっては解除している等一律的な動きにはなっていません。
日本は自粛要請ですから強制力がありませんが、国民はマスクを着用しているものの自由に外出していて、欧州のロックダウンに比べれば遙かに自由な社会のままです。

ここまでが日本と世界の状勢の概観ですが、ここからが分析になります。

① バイデン氏が就任しても国際状勢は変化しておらず、トランプ時代からの状況がそのまま 続いているとも見ることが出来る。
米国内の移民問題については扱いの変化もあるようですが、国際情勢に変化をもたらすような動きは感じられません。 即ち、良くも悪くもトランプ氏の作った状況が固定されていて、バイデン氏の政策というのが見えてきていません。 最近ではアフガンからの米軍完全撤退の決定やメキシコとの国境の壁建設を再開する等トランプ氏の路線の踏襲が目立っています。

② 日本の衆議院選挙が先延ばしになっているのは解せない。
菅政権になって2020年内に解散総選挙が行われるとの予想も強かった(新政権発足後 の政権支持率が高いとの理由)が、実施されず2021年の通常国会での予算成立後との見通しもあったが、そこでも行われていません。菅氏の自民党総裁任期は9月、衆議院の任期は10月までなので、デッドエンドは9月となりますが、ここまで総選挙を延ばす理由が見当たりません。
政党にとって選挙は有利な時期に行うのが鉄則ですが、菅氏はこの原則から外れて、次々と先延ばしている感があります。
総選挙の時期は菅氏だけでなく、自民党議員全員にとって死活問題となるので、解散総選挙の時期についての議論が活発化していないのも違和感があり過ぎます。

③ 赤字決算企業が相次いでいるのに投資市場は堅調のままである。
令和2年12月決算期、令和3年3月期決算での赤字が予想されている企業は枚挙にい とまがありません。
赤字決算が予想されている企業:
JR東日本、JR東海、JR西日本を含めた在阪私鉄5社、JAL、ANA、日本旅行・近畿 ツーリスト等の旅行会社、外食産業、AOKI(紳士服販売)、電通、ブリヂストン、日産自動車、三菱自動車、資生堂、セガサミー、オリエンタルランド、日本コカ・コーラ、楽天、野村證券、三菱UFJ証券、ファミリーマート等
これらの企業以外も多くが減益決算になっていて、経済界は厳しい状態にあるものの、証券市場とREIT市場は好調な相場を維持しています。
このような状況下で日銀は4月からETFとREITの買入を中止していますが、それでも投資市場は反応していないのは違和感があります。
これらは実に不思議な現象ですが、誰も強くは指摘していないのも、更に輪を掛けて解せない点です。

「不思議で解せない状況が多い」
ここまで書いてくると、日本及び世界の状勢はどうなっているのかという疑問が湧くのが自然だと言えます。ましてコロナ後は元の世界には戻れないと言われていますから、どのようになるのかを真剣に考えなくてはなりませんが、そのような論調は多くはありません。 正に不透明で混迷の時代という言葉が当てはまる状況です。

『即ち、自分の頭で考えるしかない時代だと言えます』
誰かの意見や見方に頼ることなく、自分で情報を集め不確かな状況であっても自分なりの見方を組み立てるしかないのが今の時代だと思います。私も常に多くの情報を集めて検討し分析しており、未だ皆様に十分な説明が出来るレベルまでには至っていませんが、時期は未定ながら何れはセミナー又はセミナーテキスト配布の形で私なりの分析をお伝えしたいと考えています。
今は物事を断定せずに、柔軟に捉えておいて、どのような事態になっても、将来は決して悪くはならないとポジティブに考えておくことをお薦めしたいと思います(決して楽観的過ぎる見方を言っている訳ではなく、私の確信とも言える予測です) 。


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