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2021. 3.19.Up Dated. |
これからの住宅を考える |
人にとって、住宅は最も長い時間を過ごす場所です。 それは個人にとっても家族にとってもそうですし、子供の成長にも大きな影響を与える場所ですが、その住宅がどうあるべきかを考えることが少なくなっています。 勿論、住宅という入れ物だけの問題ではなく、そこで暮らす人々がどういう気持ちなのかも関係しますし、また住宅は人が住まなくては住宅ではないとも言えます。 私は最初に就職したデベロッパーで戸建住宅地の開発と分譲住宅の販売を行いました。夕方に販売した住宅地を訪れて、家々に灯りが灯るのを見て、家族の温かい営みを感じました。 その後戸建住宅からマンション開発が全盛となった為に、集合住宅の開発に関わるようになり、新しい住宅であるマンションをどのようにするかについて色々と試行錯誤を繰り返しました。 自分の部署を持ってからは、将来の住宅の在り方を部署内で研究し、最後は室内の音響空間の整え方がテーマになりました。 それから不動産バブルが起こり、そしてバブル崩壊となり、この取り組みは中断し、結局は退社することになりました。 こんな話をする訳は、これからは再度根本から住宅を考え直すようになるのではと感じているからです。 人間にとって心地良く安らげる住宅はどういうものかを追求していく時代になる予感がします。 そしてそれを担えるのはREITではないかと考えているからです。 住宅を新たな視点で見直すには、研究開発費が必要になりますし、完成した時はその物件を購入してくれる主体も必要になりますから、これらの動きを促進しサポート出来るのはREITしかないと考えています。 勿論、この背後には投資家の理解と支援が必要になりますが、REITがこのような取り組みを始めれば協賛してくれる個人投資家も多いのではと期待しています。 REIT側にとってもやり甲斐のある仕事になりますし、社会の役に立つことでもありますから大きなインセンティブになると思う人も居るでしょう。 REITが中心になってこのような動きを起こし、それに設計者・建築者と関係する専門家の参画を促してムーブメントを起こしていくことが理想です。 この取り組みには、単にハードウェアだけの問題ではなく、哲学的な思考も必要となりますし、周囲の環境や日本の気候や文化までも考察する必要がありますから、広範囲で且つ深い所まで考えなくてはならなくなると思います。 奥が深く難しそうですが、それだけに面白いのではないかと思いますので、世の中が変わったと皆が感じるようになった時は、新たなREITの役割として提唱していきたいと考えています。 |
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