コラムトップ
2020. 9.25.Up Dated.
行政改革目安箱(縦割り1140番)について

 河野行政改革担当大臣が開設した行革目安箱には、意見提案が殺到して、現在は受付停止になっています。開設初日から勢いが凄かったようで、到底読み切れない量に達したので、一時停止としたようです。
実は私も行政改革の一環として以前から提唱していた「官庁等が入居しているオフィスビルをREITにセール&リースバック方式で売却する」という方式を提案しようかと考えていました。
売却によって売却資金が国に入り、収入が増えるのが第一義的なメリットですが、本命は官庁が賃借人になることで、無駄な使い方を抑制するという方向になることです。
国有財産の土地建物を使っている限り、どのような使い方をしても注意は払いませんが、賃貸で毎月賃料を支払うとなると不必要な床面積を確保しておく必要も薄らぎます。
例えば3万円/坪/月の賃料を支払うとなると、書類を保管しておくキャビネット等は無駄なコストにもなりますから、早々に電子化して書類保管スペースを最小にするという動きにもなります。また局長室等のスペースも一般的に見て適正な広さになりますし、水道光熱費も見直されることになります。
米国では、官庁などの事務所利用状況の適正度をチェックするFM(ファシリティ・マネジメント)業というものがあり、ほぼ毎年使用状況についてレポートを出してチェックするという仕組みがあります。
REITへセール&リースバック方式で売却すれば、支払う賃料は税金からなので適正度は自ずと意識することになりますから、日本にもFM業務を行う会社が増えると思われます。
従って、REITへの売却は資産を現金化するだけでなく、その後の効率的利用が意識され、組織や人員配置の在り方にも及ぶと考えられます。
この方法は行政組織に直接手を突っ込むのではなく、間接的に行い意識を変えていくという事になりますので、長期的且つ持続的な改革にも繋がります。
それでは、どの程度の国有財産が売却可能なのかを考えると、REIT誕生以前であれば数年に一回程度1,000億円規模の売却しか現実的ではありませんでしたが、REITであれば、年平均で1.5兆円程度、多い年であれば2兆円超の不動産を取得します。
毎年3,000~5,000億円程度の売却が可能ですから、国のB/Sのスリム化にも寄与します。
REITは導管体ですから、賃貸収益は全て投資家に分配金の形で支払われますから、特定の企業や個人に偏る訳ではありませんし、分配金には20%の課税がありますから、賃料の一部が国へ還流することになります。
このように考えると、十分検討の価値がありそうなので、目安箱が再開されたら提案書を出そうかと考えています。


Copyright (c) SYC Inc. All rights reserved.