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2020. 9.11.Up Dated.
消費税増税について

 次期首相と目される菅官房長官が将来の消費税増税について言及しました。
将来と言っても、自分とは関係のない将来について言及した訳ではないので、普通に考えれば、来年10月までの間か、又は総裁に再選された場合の3年間という事になります。
従って、最短で1年以内、最長で4年以内に消費税を引き上げる考えを示したことになります。
ここで気になるのは、景気低迷が続く中で、1年以内の期間での消費税増税は正気の沙汰ではありませんし、増税の前提となっている行政改革の成果が上がらない段階での増税も非合理です。
そうなると、4年以内に行政改革を実施し、成果を上げてからの増税だと考えられますが、4年以内にコロナショックによる経済の落ち込みが回復しなくてはなりません。
果たして4年間で経済が回復するかというと、かなり厳しいかと思います。
現在の見通しでは、景気回復は早くても2022年以降と思われますから、ベストの経済対策が打てても4年以内の増税では雇用状況・経済状況の腰折れも想定されます。
次に、根本的な問題として、逆進性の高い間接税を引き上げることで、どのような国家を目指すのかという明確な理念が求められます。
所得税等の直接税の累進税率には触れないで、間接税を引き上げるのは、社会に貧富の格差が拡大することに繋がりますから、国民に明確なビジョンを示さなくてはなりません。
先進国では消費税を目的税に設定している国はないようですが、日本では福祉財源等に振り向けていますから、この延長線で見ればベーシックインカムがゴールなのかも知れません。
ベーシックインカムという考え方は、財務省等の官僚では手の出せる分野ではなく、政治家しか語れませんが、これには必要な法整備が前提になり、先ず年金制度を廃止する必要があります。
次に、ベーシックインカムの対象者を厳密にしなくては、流入する外国人への恩恵だけになってしまう可能性もあります。
また現在の生活保護制度も廃止しなくてはなりませんから、国民の所得階層でみれば中より下の階層の改革が主流になりますので、難しい問題が噴出しそうです。
私の見る限り、憲法改正より遙かに大きな問題で難しい課題だと思いますが、この自覚がなくて増税を考えるのは単なる財務省の回し者でしかありません。
正直言って今の日本の政治家に将来の国家像を明確に示せるような人物はいないと思いますから、ただの増税論者という事になるのかもしれません。


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